キャビネット・シミュレーターのすすめ

講師の鈴木です。

ここ最近、空いた時間を活用して改めて色々なプロダクトを比較する…というのにハマっています。地味〜な作業ですが、プロジェクトが集中してしまうと中々出来ませんし、急いでいるときは、ついつい慣れたものを使ってしまうので…。

新しい組み合わせを試したり、改めて使ってみたら凄く良かった! なんてことも多いので、楽しめています(笑)。

ということもあり、今回はキャビネット・シミュレーターを比較してみました。
考えてみれば、ギター系のネタって始めてですね。

キャビネット・シミュレーターって何?

何のヒネリもありませんが、ギター/ベース・アンプのキャビネットをシミュレートするものです。ハード/ソフト問わず、最近は色々なアンプ・シミュレーターが販売されていますから、多くの方が何かしらアンプ・シミュレーターを持っていると思います。

ギター・アンプはプリ・アンプ → パワー・アンプ → キャビネット(スピーカー)という構成になっており、これらとマイク・シミュレーター、そしてエフェクト機能を組み合わせたのが、いわゆる「アンプ・シミュレーター」と言われるアイテム。

その中で、キャビネットとマイク部分のシミュレーションに特化したのが、今回のお題である「キャビネット・シミュレーター」です。

 

PDI-05

 

torpedolive

国内だとイマイチ盛り上がりに欠ける印象もありますが、古くはPalmer。最近ではIRを使ったTwo notesのTorpedoシリーズがメジャーどころでしょうか。

 

アンプ・シミュレーターの自由度がさらに増す!

キャビネット・シミュレーターが活躍する1番オーソドックスなシーンが、アンプのサイレント・レコーディングだと思います。自宅で真空管アンプをドライブさせられる方は少ないと思いますが、キャビネット・シミュレーターを使えばアンプ・ヘッドを音を出すことなく、ラインでレコーディングすることができます。

ですが、今回はもう1つの活用法…アンプ・シミュレーターと組み合わせるという使い方に焦点を当ててみます。
前述の通り、アンプ・シミュレーターには既にキャビネットとマイクのシミュレーターが入っていますが、専用のキャビネット・シミュレーターを使うことで、より細かく音作りを追い込んだり、質感を変える…ということができます。

ただ、ハードのキャビネット・シミュレーターは価格的にもDTM/DAWに少し敷居が高いのでプラグイン版を使います。Palmerは完全アナログ回路ですが、Two notesは内部はデジタルなので、ハード/プラグインの違いは小さいと思われます。自宅レコーディングのシーンではプラグインの方が使いやすいですからね。

まずは3つのプラグイン・キャビネット・シミュレーターを見ていきましょう。

 

Two notes / Torpedo Wall of Sound Ⅲ

Torpedo

つい先日、国内でも販売が開始されましたし、日本語情報もあるので1番入手しやすいのはコレでしょうか。内容としては、ハードウェア版のTorpedoのアルゴリズムをそのままプラグイン化したバージョン。

国内版は、収録内容によってフル版(58キャビネット)とライト版(16キャビネット)の2種類が用意されています。数が多いので、収録モデルなどはメーカーのH.Pでご確認ください。。
30日間使用可能なTrialもダウンロードできます(要ID作成)。

http://allaccess.co.jp/torpedo/wos/wos.html

機能的な特徴は、パワー・アンプのシミュレーションが付いていることでしょうか。
マイキングは、
・DISTANCE(距離)
・CENTER(角度)
・FRONT/BACK(キャビの前/後を狙うか)
・VARIPHI(位相)
・OVERLOAD(キャビネットの歪み)
・DRY/WET(原音とのミックス・バランス)

と細かく調整できます。ツマミを操作するか、グラフィックを直接マウスで操作することでもコントロール可能です。
その他にもEQ、エキサイター、コンプも内蔵されています。エフェクトの掛かりも凄く良いですよ。

 

Kazrog LLC / Recabinet 3

Recabinet3
続いて、Kazrog LLCというカルフォルニアのメーカーが販売する「Recabinet 3」というプラグイン。英語情報だけですが、$49.99とお手頃価格で、個人的にも最初に手を出したのがコレでした。

こちらもIRを使っていて、キャビネットが20種類、マイクは8種類利用可能です。収録リストは、以下メーカーのサイトでご確認ください。体験版も用意されています。

http://www.recabi.net/recabinet-3/

ポジションは2段階(On Axis / Off Axis)、距離が3段階(Close / Mid / Far)と、細かいマイキングの設定はできません。

逆に言えば、シンプルでパッと音が作れるというのが魅力です。細かく調整ができるとその分設定に時間が掛かってしまいますが、パラメーターが少ない分、どのセッティングでも破綻しない音で鳴ってくれます。

なお、EQが内蔵され、キャビネットは2つまでレイヤーが可能です。

 

RedWirez / BIGbox Bundle

Redwirez最後はRedWirezのBIGbox。RedWirezはキャビネットごとのIRファイルを単位で購入することもできますが、その場合は別途IRファイルを読み込めるプラグインが必要です。

全49種類のキャビネットを1パッケージにバンドルしたBIGbox Bundle($125.00)として購入すると、「mixIR2」という専用のIR読み込みソフトが付いてくる、という他の2つとは少し違う構成になっています。

http://www.redwirez.com/bigbox.jsp

 

上の2つは、プラグインとして洗練された操作感ですが、RedWirezの場合はその都度IRサンプルを読み込む…という少し面倒な方式。具体的には、使いたいキャビネットを選び、マイクを選び、マイキング位置(Cap / Cap Edge / Cone / Cone Edge)、距離別に用意された別々のファイルを選んでいく。

ちょうどサンプリングCDから音ネタを探してくるようなイメージで、数百、数千という単位のwavファイルをその都度読み込む必要があります。正直、めちゃくちゃ面倒で、ある程度マイクの特性やマイキングの知識を持っていないと厳しいかもしれません…。

ただ、設定が決まるとメチャクチャ良い音がするという…。上の3つと比べても、マイクを変えたときの違いが1番本物に近い感じで、ニヤリと。

手間は掛かりますが、とことん追求したい! という方にはオススメです。

 

ギターのバリエーションを増やしたいなら

個人的な意見ですが、エレキ・ギターの音を作る上で(制作の立場では、ですが)プリアンプ部よりもキャビネットやマイクの方が、サウンドに与える要素は大きいと思っています。当たり前ではありますが…。
よく言われる”シミュレーターのデジタル臭さは解消”というのとは、また少し違った効果だと思いますし、そもそも何を持ってデジタル臭いとするかも人それぞれ。音色や曲によっては、アンプ・シミュレーター側のキャビネットの方がマッチする場合もありますし、キャビネット・シミュレーターを買ったから絶対にクオリティーが上がる! というイメージとは少し違うと思っています。

ただ、アンプ・シミュレーターを買い換えたり、買い増すよりも遙かに音に変化が付けられるので、ギターを多用する曲を作りたい人は持っておいて損はないと思います。

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