IK Multimedia / T-RackS 5で追加された4つのモジュール

講師の鈴木です。

前回からまた期間が空いてしまいましたが…。

今回は、T-RackS 5で追加された4つの新モジュールをまとめて紹介します。それぞれのモジュールごとに動画も作っていますので、併せてご覧下さいませ。

なおT-RackS 5の基本は、以前のblogをご覧下さい。

IK Multimedia / T-RackS 5

EQual

1つ目は10バンドのパラメトリック・イコライザー・モジュールの「EQual」。

グラフィック上をクリックすることで、バンドが追加される…という今風のユーザー・インターフェイスが特徴で、画面内にはリアルタイムのスペクトル・アナライザーも表示されます。ちなみに、アナライザーはポストEQ(EQ処理後)です。

10バンドはそれぞれ、EQシェイプを自由に変更できるようになっています。 ベルやハイ/ロー・チェルフ、ハイ/ロー・パス、バンドパスに加えてバンドストップやチルト・シェルフまで対応しています。

メーカー・ページに「最も透明なイコライザー」と紹介されているとおり、基本的にはクセのないリニアなサウンドで、ピンポイントで特定の周波数をカットしたり、マスタリング用途だったり…とWavesで言うところのQ10のような使い方が向いているのかなぁ、と。

面白いのが、ベルとシェフル・カーブには、アナログEQのフィルター・カーブが選べるということ。選べるタイプはこんな感じです。

【BELL】

  • Standard
  • UK Modern1
  • UK Modern2
  • UK Classic
  • US Classic 1 (API 550A/B)
  • US Classic 2 (API 560)
  • T-RackS Classic
  • Mastering SS
  • Mastering Tube
  • Classic Passive

【LOW / HIGH SHELF】

  • Standard
  • UK Classic 1 (SSL 4000 modeling)
  • UK Classic 2 (SSL 9000 modeling)
  • UK Modern (Neve 1073/81)
  • US Classic 1 (API 550A/B)

いずれもT-RackSモジュールで再現されているEQモデルですね。同じEQ設定でカーブを変えると、こんな形になります(クリックで拡大します)。

コレ系って、「どのカーブがいいの?」となってしまいがちだと思うのですが、個人的には細かいことは考えずに、気分で使い分ければ良いと思っています(苦笑)。結果的に、目的の音になればいいのですから…。

Master Match

特定のパートの周波数特性を解析/コピーし、任意のパートに適用する…というマッチEQ。マッチEQ自体、かなり昔からありましたが、最近増えてきているみたいですね。

流れとしては、こんな感じです。

①効果を適用したいマスター・トラックにインサートする

②画面最上部「LEARN REFERENCE」エリアに、お手本としたいオーディオ・ファイルを取り込んで、解析する。

③「LEARN SOURCE」ボタンを押して、DAWを再生。コピー先の特性を解析させる

④「MATCH」でかかり具合を調整する

リファレンスは3つまで同時に取り込みできます。コレ系のツールは、上手く使えば便利ですが、あまり過信しすぎるのは危険だと思います。特性を似せても同じになるわけではありませんし、ソースとの相性によってはフィルター臭く感じてしまうことも。

Master Matchは後発ということもあってか、この辺りは上手く処理していると思います。また、「周波数特性」と「レベル」の2つの要素の補正具合をコントロールできるので、微調整もOK。

これを使えば完璧! というツールではありませんが、とりあえず掛けてみて、イコライジングの傾向を考える。なんて使い方には良いと思います。

Dyna-Mu Compressor/Limiter

続いてDyna Mu。ManleyのVariable Muコンプレッサーをモデリングしたモデルですね。

Variable Muというと、実機は豊かな低域と高域の鈍り(というとアレですが、上手いこと丸め込むようなイメージ)が魅力だと思っています。このDyna Muも実機ほどではないにしても、かなりイイ感じ。最近のモデリング・プラグインすげぇ! と再認識できると思います。

実機は、Compressor / Limiterの2つのモードをスイッチで切り替えるようになっていますが、DYNA-MUの場合、これに相当するのが「HARD」スイッチ。OFF…つまりCOMPモードでは、レシオが1.5:1のソフト・ニー。リミッター・モードではハード・ニーの4:1〜となります。

バス(ステム)に掛けて音作りに使いたい場合にはCOMPモード。マスターではリミッター・モードで使うのが基本でしょうか。うまくミックスをまとめてくれるので、便利だと思います。

ONE

ラストは「ONE」。マスタリングに必要な処理を1プラグインで行えるオールインワン・モジュールです。

ここまで感覚的に使えて、かつ弄っていて面白いツールは珍しいのではないでしょうか? 1つ1つが簡略化されているので、細かい音作りはできませんが、そこに不満を感じることはないと思います。パラメーターが多いので、それぞれ見ていくと…

AIR

高域成分(大体1kHz〜)のシェルビングEQ。その名の通り、ミックスの中で空気感に影響する帯域をコントロールします。

FOCUS

聴感上、一番目立つ3〜4kHz付近の帯域を調整するEQです。ボーカルだったり、音の”ヌケ”感をコントロールできます。

BODY

“鳴り”に当たる、600Hz以下のシェルビングEQです。

BASS PUNCH

その名の通り低域にパンチを与えることができます。ちょうどPultecのようにシェルビングのポイントに窪みが付く感じでしょうか。BODYでカットしつつ、BASS PUNCHを上げる…なんて具合に組み合わせて使うと、邪魔にならず、かつ存在感のある低域を作ることができます。EDM系には特にオススメです。

ANALOG

倍音を付加して、響きを強調。耳馴染みの良い音を作ることができます。やり過ぎると歪むので(当然ですが…)、掛けすぎ注意です。

TRANSIENTS

トランジェント…つまり音のアタック感をコントロールします。比較的ナチュラルにかかってくれるので、使いやすいと思います。

WIDTH

ステレオ・イメージをコントロールします。超ワイドなステレオ・サウンドを簡単に作れます。

PUSH

1ノブ・スタイルのコンプで、ノブの右側のレベル・メーターがGRです。

これ、かなり良く出来てます。何をやっても、うまくまとめてくれる(笑)。ガッツリ掛けたくなる系のコンプだと思います。ただ、掛けていくとアタックが出てくるので、その場合はTRNSIENTSで補正する…という感じで使っていくと良いかと。

VOLUME

いわゆるピーク・リミッター/マキシマイザーです。音圧を稼ぐ性能は単体ツールに譲りますが、サウンド変化も少ないので使いやすいと思います。ちなみに、Out Ceilingが-0.2に設定されています。

まとめ

ということで、今回はT-RackS 5で新しく追加された4モジュールを見てきましたが、どれもかなり良く出来ていると思います。特にONEは、アレンジ段階のラフミを書き出したい時など、パッと処理しただけでそれっぽく鳴ってくれるので重宝すると思います。

一番安い”無印”にもバンドルされていますし、IK Multimediaの持っている最新プラグイン・デザインの一番美味しい部分が体験できるモジュールなのかな、と。

次回からは、拡張モジュールを紹介していきます。

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