IK Multimedia / T-RackS 5 レビュー

講師の鈴木です。
ここ数回は、あまりDAWと直接関係ないネタが続いていましたが、今回からは再びプラグインの解説をどっぷりやっていこうと思っています。

ということで、今回取り上げるのはIK Multimediaの「T-RackS 5」。定番マスタリング・ソフトの最新版ですね。マスタリング・ソフトとはいえ、各プロセッサーは個別に起動できるのでミキシングでも使える。なんてツール。各プロセッサーについては今後個別に紹介していこうと思いますので、今回はざっくりとした概論と最新バージョンの新機能を中心にお送りしていきます。

動画と併せてご覧下さいませ。

 

T-RackSとは?

まずは基本…。ということで、T-RackSとはどのようなソフトウェアなのかというところから。T-RackSはアナログ・モデリングをベースにしたプラグイン・ソフトウェアとして1999年に登場した統合型のプラグイン・エフェクト。”統合型”という表現通り、EQやコンプなど複数の「プロセッサー」を収録し、それを組み合わせて音作りできる…というマルチ・エフェクターのような概念で作られています。

その後、各プロセッサーは単体プラグインとして起動できるようになったり、T-RackS Custom Shop内でプロセッサーを追加購入できるようになる、などの機能が追加され今に至ります。

確か、T-RackS3辺りで一気に認知が上がり、多くの人に使われるようになった記憶があります。私が手に入れたのも、確か2か3の頃だったと記憶していきます。当時は、今のように人気アウトボードをモデリングするというプラグインは少なかったので、EQP-1AやFairchildのプロセッサーが登場したときは、テンションが上がったのを覚えています。

5年ぶりのメジャー・アップグレード

T-RackS 4がリリースされたのが2012年ということで、5年振りのメジャー・アップグレードになるT-RackS 5。ガワはそのままでも、プロセッサーはちょこちょこ新製品が発売されていたので、そんなに古いというイメージはなかったのですが、改めて5年とみるともの凄い長いですね。。

その間にプラグイン界のトレンドも大きな変化がありました。やはり大きいのがアナログ・モデリングのプラグインが膨大に発売され、同時に精度も向上したことだと思います。特にここ2〜3年の進化には目を見張るものがあり、本当にハードウェアの代わりになりうるクオリティーを持ったプラグインも沢山あります。

ハードウェアを使うアドバンテージは今なお変わりませんが、チャンネル制限がないことやリコールできる等のメリットを考えると、プラグインの重要性はさらに増してきていると思っています。逆に言えば、プラグイン同士のクオリティーの差は大きくなったとも…。

正直に言えば、少し前までIK Multimediaのプラグインは「ここ最近のプラグインに比べると大味だなぁ」という印象があったのですが、このT-RackS 5やAmpliTube 4を触って印象は激変。めちゃくちゃ進化を遂げていたんです。

新機能1. 最新オーディオ・エンジンを採用

浮動小数点演算が叫ばれる昨今。T-RackSも最大192kHz、32bitフロートに対応したオーディオ・エンジンに一新されています。

オーディオ・エンジン云々というのは、単純に数字が上がれば良いというような単純なものではないと思っていますが…。それよりポイントなのが、リサンプリングのエンジンが改良されたということ。インターサンプル・ピークを抑えてくれるDDMに対応したり、ディザリング・アルゴリズムも4種類用意されています。

新機能2. 進化したユーザー・インターフェイス

画面も一新され、今風の分かりやすいユーザー・インターフェイスに変化しました。

以前のT-RackSは、決められたスロットに使いたいプロセッサーをアサインしていく…ちょうどAmpliTubeのストンプ・ボックスのような仕組みでしたが、T-RackS 5ではブラウザから画面上にドラッグ&ドロップするだけで直感的にアサインできるようになっています。

T-RackS 4の画面

これが特に便利なのがルーティングを変更したい場合。これまでのようにスロットをやりくりしなくても、ドラッグ操作だけでプロセッサーを入れ替えできるのは非常に便利です。

ちなみに、1曲につき16個のプロセッサーを同時使用可能です。

また、各セクションの表示サイズも自由に変更できるのも便利です。

新機能3. DDP書き出しにも対応

個人的にT-RackS 5に興味を持つキッカケになったのが、このDDPへの対応(※スタンドアローン起動時のみ)。そんなに多くないですが、マスタリングまで自分で行って納品するケースが稀にあったので、簡単に行えるなら楽だなぁ、と。

実際試してみましたが、非常に楽。インターフェイスの改良でトリムやフェード処理も楽に行えるようになったということもありますが、通常使う分にはまったく困らないレベルかと。もちろん、ISRCやCDテキストを埋め込んだりキュー・シートを出力することもできます。

当たり前ですが、各曲ごとにオーディオ・ファイルとして書き出すこともできます。その際も32bitフロートまで対応しています。

新機能4. 見やすいメーター

T-RackSの大きな魅力だったメーター。愛用していた人も多いと思いますが、メーターも進化を遂げています。

VUメーターやLUFSのラウドネス・メーターが追加された…というのもありますが、何より大きく見やすくなったのがポイントです。

新機能5. 4つの新モジュールが追加

プロセッサー自体も4種類追加されています。詳細は今後詳しく紹介していきますが、とりあえず概要を。。

Master Match

リファレンスとして取り込んだ曲の特性を解析して、自分の曲に適用させるEQ

EQual

こちらは通常の10バンド・パラメトリックEQ。アナライザーが表示されたりと、視覚的に使えます。デザインもPro-Q2的というか、今風で使いやすいです。

The Dyna-Mu

マスタリング・スタジオでも定番、ManleyのVariable Muをモデリングしたコンプ。高域の鈍りが気持ち良いです。

ONE

EQ、コンプ、リミッター…などマスタリングで使われる各エフェクターの要素を1つに凝縮した万能モジュール。簡易マスタリングなら、ホントにこれだけでOKという音が簡単に作れます。

シリーズ・ラインナップ

最後に、T-RackSのラインナップについて。無印の「T-RackS 5」、「T-RackS 5 Deluxe」、「T-RackS 5 MAX」の3つのグレードが用意されています。

この違いは、付属するプロセッサーの数だけ。それぞれ9、22、38のプロセッサーが収録されるのですが、個人的には最上位のT-RackS 5 MAXがオススメです。無印を買って、使いたいプロセッサーだけCustom Shopで買い足す…という考え方もアリですが、個別で買うとすぐにT-RackS 5 MAXが買えるだけの額を使うことになるはず。

各モジュールは単体プラグインとしてDAWソフトにインサートできますから、ミックス段階から活用可能。そう考えると、最初から最上位版を選んでしまうのが一番安上がり&効果的だと思います。

ということで、各プロセッサーごとの紹介も今後書いていこうと思っていますので、ぜひチェック頂ければと。

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