Waves / SSL EV2 Channelをレビュー!
講師の鈴木(@dawlesson)です。
今年も色々な機材やプラグインがリリースされましたが、中でもSSL(Solid State Logic)は魅力的な製品/コンセプトを強く感じていました。
そんな中、BlackFriday直前のタイミングに突如としてリリースされた「SSL EV2 Channel」。WavesのSSLといえば、「SSL 4000 Collection」が有名ですよね。
当時としてはまだ珍しかった”Solid State Logic公認”プラグインとして、現在に至るまで定番になっていますが、その後にリリースされた各社のSSLチャンネル・ストリップに比べ、どうしても古さを感じてしまう…というのが事実でした。
私自身、最近はPlugin Alliance製(Brainworx)のプラグインを使うことが多く、クオリティー的にも満足していたので、SSL EV2 リリースの案内を見てもイマイチ食指が動かなかったのですが、たまたま触ったところすこぶる印象が良く…。迷わず購入してしまいました 笑
現代の技術で、再モデリング
プラグインの技術は日進月歩。リリースされたタイミングでは最新の技術が使われていても、時間が経つと陳腐化してしまうのが現実です…。
今回のSSL EV2では、新しいPrecision Analog Componentテクノロジーというモデリング技術を使い、コンポーネント・ベースでゼロから再構築されているとのこと。インサートして少し触っただけで、旧モデルからの進化を感じられる出来に仕上がっています。
特に旧バージョンでは微妙だった「ANALOGスイッチ」を含むインプット・セクション。今回はきちんとモデリングされており、ライン/マイクの2段階のインプット量を上げていくと気持ち良いサチュレーションが得られ…いわゆるコンソール・シミュレーターとしても使えるようになっています。倍音のつき方もやりすぎ感がなく、ナチュラルに存在感を引き立ててくれる印象です。
また、コンプレッサーも非常に使いやすくなっています! この2点で購入を決めました!
EQはブラウン・ノブ/ブラック・ノブを選択可能
続いてEQ。こちらは新機能としてSL 4000Eの初期モデルに搭載されていた「ブラウン・ノブ」とその後に切り替わった「ブラック・ノブ」の2つのタイプを切り替えることができます。ちなみに、EQだけでなくフィルターの挙動も変わります。
両者の違いはQとゲイン幅。ブラウン・ノブの方が緩やかで、ブラック・ノブの方がシャープなカーブになっているので、補正用途だったりカリッとした質感が欲しいときにはブラック。ファット感が欲しいときにはブラウン…といった具合に1台で使い分けることができます。
またEQセクションに「Solo」機能が追加! このボタンをONにしておくと、その帯域の音だけがソロで聴けるというおなじみの機能ですが、チャンネル・ストリップで搭載しているのは珍しい気がします。デジタル表示のEQと比べると、どうしてもEQカーブが想像しくいだけに(それが良さでもありますが…)、こういった機能は嬉しいです!
他社のプラグインと比べてみて
今回リファインされたEV2を触ってみて、そうそう、SSLってこの感じだよね! という質感が劇的に向上しているのでSSLサウンドが好きな方は持っておいて損はないと思います。
またアナログ・モデリング系の常として、他のメーカーの4000 Eチャンネル・ストリップとの違いも気になるところですよね。Brainworx、IK Multimedia、Softube、UAD、本家SSLなど名だたるブランドから同じ4000Eチャンネル・ストリップがリリースされています。
手持ちのBrainworx、IKものと比べてみると、はやり同じ4000をベースにしているので挙動や基本のサウンド・キャラクターは同じものの、音を作っていくと質感の変化は感じます。
特にBrainworxのものはTMTという機能で独特の変化をするのですが、チャンネル・ストリップとしての使いやすさを感じたのは、Wavesの新しいEV2でした。正直に言ってかなり意外な結果でした…。ただ、プラグイン内部でオーバーサンプリングが行われているのか、若干(1.2ms@48kHz)のレイテンシーが生じます。CPU負荷が高いということは感じませんでした。打ち込み中のパートなどレイテンシーを極力避けたいパートにはBrainworxを使い分けていくことになりそうです。
他社のプラグインと比べてお値段も手頃ですし(本原稿執筆時は3,630円)、Wavesの本気を感じました。こうなると、どうしてもG Buss Compressorのリファインも期待してしまいます。
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