sonible / smart:comp レビュー

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講師の鈴木(@dawlessonです。

今回はAIを搭載して、自動的に“イイ感じ“の設定を作ってくれる、そんなコンプレッサー・プラグイン「Sonible / smart:comp」を紹介します。

昨今流行のAIツール。iZotopeが特に有名だと思いますが、日に日に進化を感じます。このsmart:compは数あるAI系ツールの中でも、特に実用的だと思いましたので、動画と共に紹介していきます。

目次

わずか数秒で自動設定

smart:compの1番の魅力はAI(という表現はどうなのかな、とも思う部分はありますが…)によって、パラメーターの自動設定ができる点。使い方も凄く簡単で、まずは9種類の中から目的となる楽器のプロファイルを選択し(①)、DAWソフトを再生(②)。すると音を判別して、瞬時にパラメーターが設定されます(③)。

正直に言えば、この手のツールはいくつか試した際に「ん?」という処理をすることが多く、これなら最初から自分で設定した方が…と思っていました(笑)。時短のつもりが、変な設定がされてしまうことで逆に時間がかかる…という本末転倒な結果に。。

ですが、このsmart:compは仕上がりが凄くナチュラル! プラグイン自体のサウンド・キャラクターが薄いので、そもそも色付け目的のコンプには向きませんが、コンプ臭くならないので音作りのスタート地点には最適だと思います。

いくつか自動処理のサンプルを動画で紹介していますので、実際に聞いて頂ければと思いますが、全体的にレベルを自然に揃えつつ輪郭をパキっとさせるような仕上がりになります。もちろん、ここからパラメーターをさらに追い込んでいくこともできますし、色付けするのであれば、ルーティングの後段にアナログ・モデリング系のコンプを2段掛けするのもアリだと思います。

この辺りは好みもあると思いますが、やはりトラックに対する処理がメインになるかと思います。2Mixやステムでも使えないことはないですが(結果が好きならOKです)、個人的にはあまり好みではなかったです…。

コンプの働きが、手に取るようにわかる!

ユーザー・インターフェイスも素晴らしいです! というより、私はAIよりもこちらが目的で購入しました(笑)。普段はfabfilterのPro-C2を使うことは多いのですが、分かりやすさでいえばsmart:compがさらに上をいってきた!!(全然用途が違いますので、単純に比較はできませんが)という感じです。

特に拡張パラメーターとして表示可能な「Shope」では、アタックタイムとリリースタイムをグラフィカルに表示し、かつ波形の変化を見ながら設定できます。パラメーターでもアタックとリリースにHOLDがあったり、カーブを設定できたり面白いことができます。

また「Focus」ではコンプを制御する帯域を細かく指定することもできます。サイドチェイン・フィルターを搭載するコンプがほとんどですが、波形を見ながら「ここからここの帯域を〜」と設定できるので、とても分かりやすいです。

スペクトル・コンプレッション

個人的に1番凄いと思ったのが、画面下部のスペクトル・コンプレッションです。

通常のコンプは同じタイミングで鳴っている音すべてに(帯域関係なく)同じコンプレッションを行います。レンジが広いソースの場合、意図しないサウンド変化が起こってしまいます。

スペクトル・コンプレッションというのは、要するにマルチバンド・コンプのようなもので、smart:compは2,000以上のポイントで別の処理ができる…というトンデモない高性能プラグインです。ですが、マルチバンド・コンプって使い方が難しいんですよね。うまく使えば、もの凄くイイ感じの仕上がりになるのですが…。

AIにサウンドを読み込ませると、画面下部・中央に帯域ごとのコンプレッションの掛かり具合が表示されるようになります。色が白に近づくほど強いコンプが掛かっているということを表しており、どの帯域にコンプが掛かっているのかを一目で確認することができます。

この掛かり具合は「Sensitivity」というパラメーターで調整でき、数値を小さくするか機能自体をOFFにすれば、通常のシングルバンド・コンプとして使うこともできます。

逆に数値を上げれば(最大150%)、よりマルチバンドの効果をハッキリと掛けることができます。

サイドチェイン・ダッキングでかぶりを解消!

スペクトル・コンプレッションの効果を応用して、マルチバンドのサイドチェイン・ダッキングが行えるというのもsmart:compならではのポイントです。

ダッキングというと、EDM等でキックを避けるようなベースをイメージする方が多いと思いますが、このときにベースの全帯域をリダクションさせるのではなく、キックが鳴っている帯域だけに効果を与える…という使い方ができます。

EDMのトラックメイク的には不向きですが、ミックスダウンにおいてはもの凄く有効です。例えばキックとベースの周波数がかぶった部分で、ベースにキックが入る分だけ“くぼみ“を作れるようなイメージでしょうか。ベースへのサウンド変化を最小限に抑えつつ、両者を共存させることができるので、特に低域やボーカルの処理には効果的だと思います。

※動画では、イメージしやすいかな…と思い、実用性を度外視して4つ打ちキックとベースで紹介してみました。

まとめ

smart:compは非常にナチュラルで、良い意味でコンプっぽくないサウンド、そして抜群に分かりやすいインターフェイスと、とても優秀なコンプレッサー・プラグインです。

AIが提案してくれる設定値も無理がなく使いやすいですし、場合によっては初期値で全然OKということも十分にあると思います。そういう意味ではコンプにイマイチ自身が持てない方にとって、このsmart:compはもの凄く便利な存在で、これでコンプの挙動とサウンド変化を把握すれば、他のプラグインでも思うように音作りができるようになっているハズ…。

あえて難を言えば、先ほども触れた通り色付け用途には向きませんので、コンプでキャラ付けしたい場合には別のアナログ・モデリング系コンプと併用する必要があります。また、構造上どうしても若干のレイテンシーが生じますので(CPU負荷は高くありません)リアルタイムに打ち込み/録音しながら使うのは厳しいと思います。

ということで、今回はsonibleのsmart:compを紹介してきました。プラグインの進化って面白いですね!

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