ADAM Audio / STUDIO PRO SP-5レビュー
講師の鈴木(@dawlesson)です。
今回は最近手に入れてからメインのヘッドホンとして愛用している「ADAM Audio / SP-5」というモデルを紹介してみようと思います。
(音楽制作用として販売されている)ヘッドホンの中ではかなり高価な部類だと思いますが、色々とびっくりすることが多く、特にADAMの音が好きな人であればぜひチェックして頂きたい製品だと思います。
スペック等は公式ページでご確認くださいませ。
空間表現がスピーカーと同じ感覚で聴ける
まず最初に驚いたのが、音が立体的に聴けるという部分でした。ヘッドホンはスピーカーに比べると、どうしても奥行きが平坦になりがちな傾向にあると思います。ドライバーと耳との位置関係が違うので、当たり前ではあるのですが…。
スピーカー作業時とヘッドホン作業時には聞こえる音場の差には大きな差があり、「こんなもんか」とある意味で割り切って使っていました。どちらかをメインで長時間使っている場合は良いのですが、録音時にはヘッドホンでモニターし、それ以外はスピーカーで…と2つの環境を行ったり来たりする際には、結構なストレスを感じます(笑)、
ですがSP-5はちゃんと奥行きを感じるというか、とにかく自然な響き方でスピーカーと併用してもほとんど違和感がありません。
こう聞こえた大きな理由がULTRASONEの「S-LOGIC®PLUS」という技術の存在だと思います。このSP-5は、同じドイツに本拠を持つヘッドホン・ブランドULTRASONEと共同開発されたモデルで、ULTRASONEのテクノロジーがそのまま採用されています。
S-LOGIC®PLUSとは何か…というと、簡単に言えばヘッドホンのドライバーを鼓膜の軸線から外し、外耳を反射させながら鼓膜に届けるという仕組みのようです。詳細はULTRASONEのサイトをご覧頂きたいのですが、自然な音場になることで脳にかかる負担が減り、聴き疲れも低減する…というメリットもあるようです。
そう言われると、SP-5を使い出してから小さな音でも不満なく聴けている気がします。。
ULTRASONE S-Logicテクノロジーの技術解説(公式ページ)
ADAM の音がする!
筐体自体は、ULTRASONEのSignatureシリーズに準じているのだろうと思いますが、SP-5の音は紛れもなくADAMの音です。
普段、同社のS1Xというスピーカーを使っていますが、S1Xとサブウーファーを組み合わせたときのような印象のサウンドを聴くことができます。ADAMらしさを感じる一番の理由は、なんと言ってもリボンツイーターによるシャープな高域の表現力とそこからくる定位の良さだと思いますが、SP-5の音もまさにこの感じです。
先述のようにスピーカー的な立体感のあるサウンドと相まって、スピーカーとヘッドホンどちらでも同じ方向性のサウンドで作業できる…という現段階で理想的な環境になりました! とにかく楽です。。
ちなみに、ADAMというと高域が話題に上がることが多いように感じますが、SP-5は全体域に渡って非常に見渡しが良いです。量感はありつつも邪魔にならないキレの良い低域、そしてサウンドの芯をしっかり聴ける中域…とまったく不満がありません。
装着感と視聴ポジション
長時間作業するに当たって、装着感がどうかは非常に重要になってきます。
本体は290gと軽量なので、付けていて重さがストレスになることはないと思いますが、側圧は少し強めでしょうか。かなりカッチリとした装着感です。
色々な環境で使ったり、他社ヘッドホンと比較してみて感じたのは、遮音性の高さです。装着して音を聞き始めると、外の音がほとんどわからなくなります(笑)。作業に没頭できると同時に、マイク録音時にはクリック音がマイクにかぶってしまう心配もないのは安心です!
装着感に関してですが、もう1つ重要になると思ったのが装着ポジションです。何も考えずに装着するだけでも十分素敵な音を聞けるのですが、イヤーパッドの位置を耳に合わせることで初めて理想的なサウンドを聞ける気がします。具体的には、ちゃんと装着できると低域の解像度が倍増します(というか、これが本来のサウンド)。
イヤーパッドが固めのため、装着位置はかなりシビアかな…というのが正直な印象で、頭を左右に動かすとイヤーパッドが浮いて聞こえ方が変化したり…とシビアな部分もあります。それを持ってもこの音は魅力だと思いましたが、制作中は若干使いにくいのも事実…。。
そこで色々考えた結果、YAXIのイヤーパッド「FIX 90mm」に交換して使っています。FIX 90mmについても、後日動画で紹介しようと思っていますが、サウンドは純正に譲るも、装着感で勝る…という感じかなと思います。YAXIは色々なモデル用にイヤーパッドをリリースしているので、オススメです!
ヘッドホン・アンプの影響
最後に、ヘッドホン・アンプとの相性について。SP-5のインピーダンスは70 Ω。色々な環境で聞いてみましたが、スマホ直や、USBバスパワー駆動のインターフェイスのように、あまりパワーのないヘッドホン・アンプではSP-5のポテンシャルをフルに発揮することはできなそうです。
パワーのないアンプで聴くと、ぐちゃっとした元気のない音になってしまいますので、その辺りは考慮する必要があると思います。特にお店で試聴する際には注意してください!
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