iZotope / Ozone7

講師の鈴木です。

突然ですが、皆さん(プリ)マスタリングには何を使っていますか? ラフミだったらWavesのLシリーズ辺りを適当に掛けるだけでOKだったりしますが、ちゃんとやろうと思うと、色々なプラグインや知識が必要だったり。中々奥の深いカテゴリーですよね。

今回はマスタリング・プラグインの定番、iZotopeのOzone 7を紹介します。実はOzone、流行始めの頃に(確か2か3)の頃に買ったことがあったのですが、音がハデになり過ぎる。場合によっては音の濁りが気になったりとあまり印象が良くなく…。確かに便利さは分かったのですが、出音が好きになれずにそれ以来だったのですが、今回Ozone 7を使ってみたところ凄く良くなっていてビックリでした。

Ozone7ってどんなソフト?

まずはOzone 7の概略から見ていきましょう。

マスタリングでは、EQやコンプなど複数のモジュールを組み合わせて音作りをしていきますが、Ozone7にはそれらマスタリングで必要となるツールが一通り揃っています。収録内容としては、

20170203_2・イコライザー
・エキサイター
・ダイナミックEQ
・ダイナミクス
・イメージャー
・ヴィンテージ・リミッター
・マキシマイザー

の7種類。これらのモジュールを6つまで組み合わせていきます。各モジュールの個別ON/OFFはもちろん、モジュール単位のソロやルーティング順の変更もドラッグ&ドロップだけで簡単に行えます。また、Ozone全体だけでなくモジュール単位のプリセットも収録されているので、マスタリングだけでなくミックス時に各トラックに直接インサートしたりと、割と色々な用途で使えます。

3つのラインナップ

今回紹介するのはスタンダード・グレードのOzone7(Std)ですが、上位版のOzone7 Advancedや、エントリー版のOzone7 Elementsの合計3つのラインナップが用意されています

Ozone7 Advancedは、各モジュールが単体プラグインとして使えたり、3つの追加モジュールが追加。さらにメータリング・プラグインのInsightもバンドルされるという内容ですが、価格差を考えるとStdでも十分なような気がします。特に色々なプラグインをすでに持っている方は。

ライト版のOzone7 Elementsはプリセットを選んだら、最低限のスライダーを使って効果を微調整する、という大幅な機能限定版。細かい音作りを一切カット。その分、分かりやすさを重視したバージョンです。実際に触った訳ではありませんが、すぐに物足りなくなると思いますので、最初からStd以上を選ぶのが良いと思います。

プラグインとスタンドアローン

Ozone7はDAWソフト上でプラグインとしてマスター・バスにインサートして使うだけでなく、スタンドアローンの単体アプリケーションとしても使用することができます。

スタンドアローン版では、オーディオのインポートとエクスポート、さらにVST/AUプラグインが使用可能。トリミングやフェード処理など簡単な波形編集も行えるようになっています。

どちらで使っても基本的な処理は同じですが、Ozone7自体、結構マシンパワーの掛かるアプリケーションですので、DAWと別にするというのはアリだと思います。
私の場合、2Mixは外部のマスター・レコーダーに録音しているので、スタンドアローン版の方が使いやすいなぁ、と。Ozone自体に録音機能が付けばさらに良しなんですが。。

マルチバンド・モジュール

収録モジュールの中で、ダイナミクス、エキサイター、イメージャーの3モジュールは最大4バンドのマルチバンド仕様。各周波数ごとに個別のセッティングが行えます。

20170203_4中でもイメージャーがマルチバンドで処理できるのは非常に便利。イメージャーだとWavesのS1が有名だと思いますが、マルチバンドだと高域を広げつつ低域は狭める…的な使い方ができます。音源にもよりますが、低域まで広げてしまうと全体的にぼやけてしまうケースが多いですし。

 

20170203_5
ダイナミクスも非常に使いやすいです。コンプとリミッターが付いているのですが、どちらもKneeまで付いたフル・パラメーター。グラフを見ながら視覚的に設定していくことができますし、リダクション量を時間変化で見ることもできるので、どの位のコンプが掛かっているかを直感的に把握できます。
サウンド的にもナチュラル系で使いやすいですし、各バンドごとにDry/Wetのパラメーターが付いているのでパラレル・コンプレッションもOK。激しくコンプレッションしつつ、原音を混ぜて輪郭を作る…といった音作りも行えます。

マルチバンドというと小難しいエフェクトという印象があると思いますが、かなり簡単に触れる印象です。中でも便利なのがクロスオーバー周波数とQを自動的に調節してくれるという機能。クロスオーバー画面の右下にある「Learn」ボタンを押すことで、再生中の素材を解析して、最適なクロスオーバーを自動的に設定してくれます。サビなど曲の一番聴かせたい部分でLearnさせるのが良いでしょうか。。
周波数が設定できたら、後は適当に弄るだけでもそこそこマトモな感じに仕上がってくれます。

 

MSプロセッシング

EQ、ダイナミクス、エキサイター、ダイナミックEQモジュールでは、MS処理も可能です。MS…つまり音のセンター(Mid)に位置する要素とセンター以外の左右(Side)に分け、個別にエフェクト処理を行うというもので、最近のマスタリング系エフェクトでは必須の機能。

20170203_6MidとSideそれぞれSolo再生ができるので、各要素のサウンド変化を聞きながら、感覚的に使えると思います。
MSを使いこなすのは難しいですが、重要ではない帯域(例えば低域のSide成分)や、ボーカルなど主役となる楽器に被る帯域(中高域のSide成分)から弄っていくと、音像のクッキリとした奥行き感のあるサウンドが作りやすいと思います。

EQモジュール

20170203_9総合ツールなので色々なモジュールが入っている訳ですが、必ずしも全部使わなくてはいけないということではありません。というよりも、無理にすべてOzoneで完結させるよりも、気に入っている(音の特性を把握できている)他のプラグインと組み合わせて使う方が自然。

そういう意味で、Ozoneで良いなーと思ったモジュール1つ目がEQモジュール。
EQセクションは最大8バンドが使用可能で、各バンドごとにフィルター・カーブやEQアルゴリズムを設定可能です。まずアルゴリズムはAnalogとDigitalから選択可能。この違いは、名前からイメージする通りでDigitalの方がシャープで狙った部分を狙っただけコントロールできるもの。それに対してAnalogはじゃっかん音像が滲みますが、暖かみが付加されるような印象。Digitalを選んだ場合はPhase(リニア位相特性)も調整できます。
カーブに関しても、十分過ぎる程揃っています。

便利なのがソロ機能。キーボードの「alt」キーを押しながら、画面内のグラフィックをクリック&ホールドすると、その帯域だけがソロ再生されるという仕組み。以前にこのblogでも紹介したFabFilterのPro-Q2のように、処理したい周波数を見つけるのに重宝します。

また、ターゲットとして読み込んだEQ特性をコピーしてオリジナルのソースにも適用する「マッチングEQモード」も搭載しています。

 

マキシマイザー

20170203_7良くも悪くも、マスタリング・エフェクトでは音圧を稼ぐことが求められますので、ここも重要なセクション。基本的にはWavesのLシリーズのようにThresholdを下げていくだけでドカドカとレベルが上がっていく訳ですが、それだけでなく細かい音作りができるのが魅力。ただリミッティングの動作モード(IRC)を知らないと、Ozoneって微妙じゃない? なんてなってしまうかも…。

選択できる動作モードは4タイプ。基本的にはI→IVになるにつれてトランジェントが自然になっていく印象。またIIIとIVはさらに何パターンかのスタイルが選択可能なので、合計で9タイプから曲に合わせて選んでいく感じです。

個人的に、いちばん使いやすかったのがIRC IVのClassicモード。割とどんなジャンルのソースにも無難に合わせやすいので、まずはここから聴いてみて、もっとトランジェントが欲しいならModernに切り替えるようなイメージでしょうか。。

 

とにかく便利な統合ツール

Ozone 7に収録されている各モジュールはどれも多機能なので、とてもすべてを紹介することができませんが…。かなり弄りがいと即効的な効果を期待できるプラグインだと思います。以前のバージョンで感じた滲みや飽和感、クセのようなものはかなり解消され、びっくりする程クリーンなサウンドに。Advではアナログ系のモジュールが追加されているということで、その辺の関係もあるのかもしれません。
ただ、クリアー系になった反面で「なんでもまとめてくれる」ことがないので、ミックスはある程度しっかり仕上げる必要があると思います。

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かなり優秀なプラグインだと思いますが、モジュール単位でみるともっと良いツールがあるのは事実。徹底的にこだわりたい人は、EQやダイナミクスなど単体の専用プラグインを組み合わせていく方が良いと思いますが、時間的にも予算的にも気軽に効果的な音にしたい! というシーンではOzone 7の右に出るものはいないと思います。
何と言っても全モジュールを組み合わせたプリセットが付いているので、それぞれ別のエフェクトを使う場合のように、プリセット同士の相性を気にする必要もありません。気に入るプリセットを見つけて、そこから少し弄るだけでも十分な音作りができます。

 

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