Vienna Symphonic Library / Vienna Instruments

2016_Vienna7講師の鈴木です。
最近はハードだったりエフェクトが中心だったので、久々にソフトウェア音源を紹介してみようと思います。

テーマは「ヴァイオリン音源」。個人的にドラムと弦が好きだったりする関係で、この辺りは色々試しているのですが、ここ最近よく使っているものを、3回に渡って紹介していこうと思います。
まず初回は、Vienna Instruments。弦だけではなくオーケストラ・ライブラリーとして定番だと思いますが、やはりViennaの弦はポップスでも使いやすいと思います。

http://www.crypton.co.jp/mp/pages/prod/vienna/product_info.jsp

Vienna Instrumentsのラインナップと基本構成について

現行のViennaの弦系ラインナップだと、編成の小さな方から「SOLO STRINGS(ソロ弦)」、「CHAMBER(室内楽)」、「ORCHESTRAL(大編成)」、「APPASIONATA(超大編成)」の4バリエーション。さらにセクションを独立してコントロールできるフラッグシップ「DIMENSION STRINGS」の合計5製品がラインナップされています。
どれを選ぶかは、作りたいジャンル次第だと思いますが、歌モノ中心で使うというのであれば、CHAMBERが1番使いやすいと思います。

そして、Vienna Instruments独特の考え方が、基本奏法を収めた「スタンダード」と特殊奏法などを追加する「エクステンデッド」と1つの製品に2つのライセンスが用意されていること。これが結構複雑で、製品を購入するとスタンダードとエクステンデッドの両方のサンプル(音色)がインストールされるのですが、エクステンデッドのサンプルを使うには、エクステンデッドのライセンスを追加購入する必要があります。つまり”スタンダード・ライセンスを購入しただけでは、インストールしたサンプルを全部使えない!”なんてことが起こってしまうので注意が必要です。
私はCHAMBER STRINGSをベースに使っているのですが、スタンダードとエクステンデッドのライブラリ構成は以下のようになっています。

2016_Vienna2細かいことをやろうとするとエクステンデッドがあるに越したことはありませんが、ポピュラーの弦という観点だと、スタンダードでも何とかなるかなーという印象です。

Vienna Instrumentsソフトウェアについて

2016_Vienna1Viennaのライブラリは、専用のソフトウェアである「Vienna Instrumentsソフトウェア」に読み込んで使います。KONTAKTやUVI Workstartionと同等のものだと思って頂ければ良いと思いますが、これがかなり良くできています。
最近のソフトウェア音源の多くは、各アーティキュレーション(奏法)をキー・ノートにアサインして切り替えながらデータを作っていくのが基本。これ自体はViennaも共通なのですが、アーティキュレーションをキーにアサインするだけでなくマトリクス化することができます。

マトリクスとは

2016_Vienna3マトリクスは各音色をボックス(スロット)に配置した集合
体のようなもの。マトリクス自体は縦横自由に拡張し、好きな奏法を配置できるのが特徴です。そして、縦横の移動をキー・スイッチやMIDI CC、ノートを発音させる…つまりフレーズの早さといった要素で自由にコントロールすることができます。
例えば、スロットの横方向はフレーズの早さにアサインし、各スロットには左からサスティーン、スピッカート、スタッカートの順に配置したとします。こうしておけば、後は早いフレーズを弾いたときに、フレーズの早さに応じて自動的にサスティーン→スピッカート→スタッカートと音色を切り替えてくれるという仕組み。どの位の早さでどの奏法に切り替えるのかも、もちろん自由に設定することができます。

スロット内にレイヤーも可能

2016_Vienna4また、1つのスロット内に2×2で最大4つのパッチを読み込むこともできます。パッチ同士をレイヤーするだけでなくCCでクロスフェードさせることもできるので、通常のアルコ→トリルに序々に変化していくようなアプローチも簡単に設定できます。また、各パッチの音量やパンは画面内のミキサーで自由に設定することができます。

実際の使用例

ここで、私が実際に使っているマトリクスの1つを紹介します。マトリクスは、最初からプリセットが用意されていますが、ある程度は自分に合わせたカスタマイズが必須だと思います。

2016_Vienna5
まず、マトリクスは6×2。横方向はキー・スイッチで、縦方向はモジュレーション・ホイール(CC.1)で切り替えています。どのようなサンプルを配置しているかと言うと、基本的にはメインとなる奏法は横方向にすべて配置し、キースイッチで切り替えるようにしています。というのも、他のメーカーの音源と合わせて使うことが多いため、できるだけ操作感を合わせる目的です。
順番的には、使用頻度の高い順から「サスティーン」、「サスティーン+デタシェ」、「デタシェ」、「スタッカート」、「Pizz」〜といった具合。そして縦方向は、横方向にアサインしたアーティキュレーションからリアルタイムで切り替えるような奏法をロードしています。例えばサスティーンの下には「PERF INTERVAL」という、ノート間の間隔を自動検出してポルタメントしてくれる奏法を配置する…なんて感じです。
そして、トリルなどはスロット内にも配置し、A/BというパラメーターをアサインしてCCでコントロールできるようにしています。つまり、CCを入れるとサスティーンからリニアにトリルに切り替わっていく…みたいな感じです。

Vienna Instrumentsの良い所

個人的に感じるVienna Instrumentsの魅力をまとめてみます。

①音色自体が使いやすい
大きな癖がないので、どんな楽曲でも合わせやすい。逆に言えば昨今のEpic Sound的なハデさを求めるなら少し工夫が必要です。エクステンデッドのライセンスまで揃えれば、かなりマニアックな奏法までカバーすることができます。

②サウンド・エンジンが使いやすい
Vienna Instrumentsソフトウェアの使い勝手が高く、コントロール性が高いです。また、エンジン自体もKONTAKTなどと比べても非常に軽いのと、1度RAMに読み込んだサンプルを重複して読み込むことがありません。例えば1stバイオリンと2ndバイオリンの音色を分けて使う場合も、読み込みは1度でOK。メモリを効率的に使えます。

Vienna Instrumentsの難点

メリットだけだとアレなので、デメリットの部分についても。

①楽器に関してある程度の知識が必要
他の大容量ライブラリにも言えることですが、ある程度、その楽器に関する知識は必要です。マトリックスやプリセットを組むという面だけでなく、音色自体が癖がない分、ベタ打ちでは音源のポテンシャルを引き出すことは難しいと思います。

②音が近い
すべてのライブラリ(DIMENSSION以外)がドライで収録されていて、かつかなりマイク・ポジションに近い…つまり前面に張り付くような傾向にあるため、奥行きを付けるには少し工夫が必要です。
とはいえ、プリ・フェーダーでリバーブにセンドすることで奥行きは自由にコントロールできるので、決して使いづらいというものではありません。

③Vienna Key(ドングル)が必要
2016_Vienna6ライブラリを使うためには、専用のドングル・キーである「VIENNA KEY」が必要です。専用といっても、Steinberg製品で使われているeLicenserと同一製品なので、流用することも可能です。ただ、eLicenserキーはパソコン起動時に読み込みエラーが出る場合があるので、個人的にはあまり好きではありません(笑)。挿し直せば良いんですが、月に数度は発生するのでeLicenserだけキーボードのUSBハブにつないで使っています。

まとめ

ヴァイオリン音源…というテーマで書き始めたつもりが、Vienna Instrumentsソフトウェアの紹介のようになってしまいましたが…。。使いこなしにはある程度覚えなくてはいけないこともありますが、逆に言えばそこをクリアすればかなり使い勝手の良いライブラリだと思います。

ちなみに、KONTAKT5にもViennaのサンプルを使ったオーケストラ・ライブラリが収録されていますが、基本的な音色傾向は近いのですが別モノだと思っています。フルバージョンの方が使い勝手も、音ヌケも、表現力も数倍上です。
次回はBEST SERVICEの「CHRIS HEIN SOLO VIOLIN」を紹介する予定です。

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