Positive Grid / BIAS AMP【後編】

講師の鈴木です。
前回に引き続き、Positive GridのBIAS AMPを紹介していきます。前回よりさらに1段増しでマニアックです。。

Power amp

プリ・アンプで作った音を、スピーカーで鳴らせる音量まで引き上げるのがパワー・アンプの働き。と言っても、リニアに音量が上がる訳ではないので、どのような設定にするかでサウンド・キャラクターが変わってきます。そもそも、プリアンプには触れる機会があっても、パワー・アンプに触れるというのは希だと思いますから、よりイメージしにくいセクションかもしれません。
パワー・アンプのセクションは、電源からアンプを駆動させるための電圧を作り出すPower Supplyと、アンプ回路の最後に通ることになる出力トランスを調整するTransformerの2つのセクションで構成されており、ここをどのように設定するかで、弾いたときの手応えやニュアンスがかなり変わってきます。BIAS Ampで好きな音が作れるかどうかは、このPower Ampセクションに掛かっているといっても過言ではないかもしれません。

なお、PowerSupplyはPreamp同様に4タイプのバリエーション(Standard / Glassy / Crunch / Insane)から選択することができます。

・TOPOLOGY:パワー・アンプの動作方式を選択します。選択できるのは、1本の出力管で増幅する「シングルエンド」、「スプリット・ロード」、2本以上の出力管を使う「プッシュプル」。そして「ソリッド・ステート」の4タイプ。シングルエンドはフェンダー系のクリーン〜クランチ向け、プッシュプルはマーシャル・スタック系というイメージでしょうか。
シングルエンドはクラスA、プッシュプルはクラスABといった方が馴染みがあるかもしれませんね。レスポンスを優先するならシングルエンド、音圧感が欲しいならプッシュプル、そして素直な特性ならソリッド・ステート…といった感じでかなりニュアンスが変わります。
・MASTER KNOB:最終的な出力レベルを調整します。Custom PanelのMASTERノブと連動しています。単なるマスター・ボリュームではなく、本物の真空管アンプ同様にパワー・アンプのドライブ量が変化するので、GAINやVOLUMEとの組み合わせで音を作っていく必要があります。

2016_biasamp_7・POWER STAGE TUBE:パワー管の種類を選びます。選択できるのは「6L6GB」、「6V6GT」、「EL34」、「EL84」の4種類。どれも定番の真空管です。6L6はMesa、6V6はFenderのDeluxe Reverb、EL34はMarshall、EL84はVOXなどが有名ですね。基本的にはPreampに併せて選ぶのが無難だと思います。

・DISTORTION:パワー・アンプ部での歪みの量を調整します。

・SPLITTER GAIN:パワー・アンプ部で加わる歪みの質感が変化します。特に、真空管アンプっぽい押し出し感が欲しい場合には、ここを上げ目にしておくのがオススメです。逆に、クリーン系でここを上げると暑苦しくなりすぎるので注意です!

・POWER GAIN:パワー・アンプにどれだけ音を突っ込むか、というゲイン調整だと思うのですが、他のパラメーターに比べると音の変化はリニアに近いと思います。

・BIAS ADJUST:パワー・アンプ部でのBIAS調整。プリ・アンプ・セクション同様に、COLD/HOTで歪みの質感をコントロールすることができます。

・PRESENCE:Custom PanelにあるPRESENCEコントロールです。超高域の量感を調整します。

・MODERN / VINTAGE;高域の質感が変化します。VINTAGE側にすると、高域がロール・オフされてウォームな印象になります。

Transformer


出力トランスに当たるセクション。真空管とスピーカーのインピーダンス・マッチングを計るセクションで、主に真空管アンプ特有のコンプレッション感を調節できます。個人的には、プリセットで入っているアンプ・モデルは、全体的にコンプ感をデフォルメし過ぎている印象があるのですが、このセクションを弄ることで、自然なニュアンスを作ることができます。

・SOLID STATE / TUBE RECTIFIER:整流の方式をソリッド・ステートと真空管から選択します。整流は、簡単に言えば交流電源を直流電源に変換するセクション。アナログ機器は電圧=音質なので、サウンドに直結します。特性だけ見ればソリッド・ステートの方が優れていますが、真空管には独特の立ち上がりの遅さと不安定さのある独特の質感が魅力です。

2016_biasamp_9・RECTIFIRE TUBE TYPE:整流管の種類を選択します。選択できるのは「GZ34」と「5Y3GT」の2タイプ。クランチまでなら5Y3、ガッツリ歪ませるならGZ34が好みです。

・INPUT / RATIO / ATTACK / RELEASE / COMPRESSION:パラメーターを見て分かる通りコンプそのもの。基本的にコンプレッサーとまったく同じイメージで使うことができます。


・TRANSFORMER TYPE:
トランスフォーマーのキャラクターを「American Style / British Style / Fat Style」から変更します。このセクションで1番サウンド変化が大きいのはこのパラメーター。基本的に、文字の印象通りのサウンド変化です。トランスフォーマーを弄るときは、まずここで基本の方向性を決めてから、他のパラメーターを弄るのがオススメです。2016_biasamp_10

cab


キャビネット・シミュレーターに相当するセクションです。
基本的にはシンプルで、キャビネット・タイプとマイク・モデル(SM57 / C414)を選び、マイキング位置を調節するだけ。基本的には、実際のアンプ録りと同じようなサウンド変化をしてくれますが、他のプラグインでも同じように現実のマイク位置通りにしても望んだ音は得られにくいような気がします。

また、キャビネット・モジュールには、IR Loaderに切り替えてIRを使うこともできます。BIAS Amp自体にIRサンプルは収録されていないので、自作かサードパーティー製のファイルを用意する必要がありますが、個人的にはサウンドを追い込むのであればIRがオススメです。

EQ


シグナル・ルーティングの好きな場所に使用可能なEQモジュールも用意されています。
2つのEQモジュールの機能は同じで、どちらも8バンド仕様。パラメトリックEQとグラフィックEQを切り替えて使うことができます。

 真空管アンプのサウンドをコピーする!? Amp match

Amp match機能は、BIAS Ampの上位版であるBIAS Amp Professionalのみに搭載されている機能。実際のアンプの音からサウンド特性をコピーし、自分で作った音に反映させることで、アンプで作ったサウンドをコピーしてしまおう、という機能。

同じような機能がAxe-Fxにも搭載されていますが、基本的にはEQ特性を反映させるもの。文字だけ見るとKemperのようなプロファイリングを思い浮かべてしまいがちですが、違うものと考えるのが良いと思います。とは言え、実際試してみましたが、ニュアンスはかなり似せることができるので、「いつも使っているアンプの音」に少しでも近づけたいというシーンでは効果的だと思います。

では、実際に作業の流れを簡単に紹介しておきます。

1.BIAS Amp上で音を作る
基本となる音を作ります。アンプ・マッチさせたいアンプのサウンドにできるだけ似せておく必要があります。

2.Souceをサンプルする
BIASで作った音を認識させます。画面内の「SAMPLE」ボタンを押すと入力を開始します。100%になるまで、フレーズを弾き続けるのですが、低域から高域までまんべんなく使ったフレーズを弾いた方が精度が上がるような気がします。

3.実アンプの音を取りこむ
次にTargetモードに切り替え、コピーしたいアンプにマイクを立てて音を取りこみます。

4.Amp Match
解析が終わればマッチングは完了。マッチングさせた音のミックス・バランスやトーン・コントロールもできるので、耳で聞きながら質感を併せていきます。

まとめ

2回に渡ってBIAS Ampを紹介してきましたが、かなりのボリュームに…(汗)。
複雑で取っ付きにくい面もありますが、それだけ弄りがいのあるプラグインだと思います。

また、BIAS Ampには通常版であるDesktopと上位版であるProfessionalがありますが、Amp Match機能を使いたいかどうかで決めればOKだと思います。Amp Match自体はリハスタにパソコンを持ち込めば簡単に挑戦できますし、ソフトからアクセスできる音色共有サービス、Tone Cloud上で他のユーザーが作ったAmp Matchパッチを落としてくることもできます(Desktop版にはAmp Match機能自体がないため使用不可)。

最後になりますが、BIAS Amp自体にはエフェクトがないので、曲作りやレコーディングで使おうと思うと他のギター用エフェクト・プラグインは必須だと思います。同社のBIAS FXであれば、BIAS Ampでカスタムしたアンプをそのまま取り込めるので、両方購入することを前提にする必要があると思います。

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