Waves / Gold レビュー 〜その2
講師の鈴木です。
前回に引き続き、Waves Goldを紹介していこうと思います。
■H-COMP
個人的にも好きなコンプの1つで、暖かみのあるサウンドのコンプレッサー・プラグインです。明確なサウンド・キャラクターがあるので、ある意味で前回紹介したC1とは対局の存在と言って良いかもしれません。
機能的にも面白く、例えばRelease TimeがBPMで指定することができるので、とりあえず同期して音符長を設定するだけでイイ感じのサウンドが作れます。ちょうどディレイのような感覚ですね。あえてズラすのもOKですが、Releaseは設定の難しいパラメーターだと思うので、「コンプが分からない!」という人はH-Compでコンプの掛かったときの感じを覚えておくと参考になるのではないでしょうか。
その他にも潰れたアタックを戻すのにも便利な「PUNCH」や、キャラクターを変化する「ANALOG」も用意されています。通すだけでロー・ミッドが押し出されるようなサウンドなので、ソースによっては暑苦しく感じるときには、ANALOGで調整するか「MIX」で調整していくのがオススメ。
MIXつまみは、原音とコンプ音のバランス調整…いわゆるパラレル・コンプレッションを行うことができます。
とにかくサウンド・キャラクターの強いプラグインなので、コンプを使わずに(Thresholdを最大で)、インサートして音に色づけするだけ、という使い方もアリかもしれませんね。
■H-Delay
同じくHybridシリーズのディレイ・プラグインです。デジタル・ディレイと、テープ・ディレイ(エコー)を融合させたユニークなデザインで、非常に汎用性の高い優等生というイメージ。
使い方も簡単で、基本的にはBPMに同期させて、「FILTER」でディレイ音のトーンを作っていくだけ。曲の中でディレイ成分が浮いて聞こえたり、歪んだギターのバッキングのようにあまり主張させたくないけど広げたい…なんてときには「Lo-Fi」スイッチと併用することでEQを使うよりも簡単に馴染ませることができます。
また、Delay Timeは手動設定もできるので、音を出しながらツマミをグリグリするとピッチ・スイープが再現できます。モジュレーションも付いているので、オートメーションで動かしてあげれば過激な音も作れます。
“綺麗なんだけど、どこかテープ風”という絶妙なトーンが魅力のH-Delay。これぞテープ・エコー !という音が欲しい場合には他の選択肢もありますが、一般的な楽曲ではこの位のバランスが丁度良い。そう感じます。
■IR-L
同社のIR(インパルス・レスポンス)リバーブ、IR-1から基本機能を抜粋したリバーブ・プラグイン。基本的にはプリセットを選ぶだけで使えます。パラメーターが限られているのでいじれる部分が少ないですし、プリセットが気に入らなければ他のプラグインを試す、的な使い方になってしまうと思います。
個人的には、あまり得意ではなかったり…。Gold Bundleの中だと、Renaisaance Reverbの方が使いやすいと思います。。
■L1 Ultramaximizer
もはや説明不要なピーク・リミッター。Thresholdを下げるだけで音圧が上がるよ! というプラグインですね。今はL3やL3-16といった、より新しいアルゴリズムのプラグインが登場しており、性能的にもやはり上。それでもL1はトラックに直接インサートする用途で活用できます。
これはLシリーズに限らずピーク・リミッター全体的に共通していることですが、あまり突っ込み過ぎるとハイが出てくるので、そこだけ注意。
ちなみに「IDR」とはIncreased Digital Resolutionの略。何のことや? と言うと、要するにディザです。詳しく説明すると長くなるのでサラっと流しますが、24bitで作業していて書き出し時に16bitに落とす際に音質変化を抑えるため、データを加えて補正を行う機能です。
Quantizeで24bitになっていれば良いのですが、個人的にはマスター・トラックの最終段に挿すとき以外は、「Dither」でNoneにしています。気分の問題かもしれませんが(苦笑)。
ちなみに、純粋なリミッター・バージョンの「L1 limiter」も収録されています。
■MaxxBass
倍音を加えることで、本来のソースにはない低域を加えてしまう! という便利なプラグイン(厳密には聞こえ方を大きくする)。単純に周波数をブーストするEQとは少し効果が違います。
良く使っていたのは、ソフトウェア・シンセサイザーのシンセ音色。どうしても線が細くなってしまいがちなプラグインのシンセサイザーに軽く掛けて上げることで、量感を与えることができます。どちらかというと生音系音色よりもシンセ系に使うのが効果的だと思います。
便利なプラグインではありますが、多用は禁物。。低域が足りないと感じたときは、MaxxBassの音が欲しいのではなければ音色自体を差し替えるのがオススメです。。効果は分かりやすいですが、それだけに使い方には工夫が必要。用途と容量を考えて使うのであれば、非常に魅力的なプラグインです。
■MetaFlanger
モジュレーション・エフェクトで、オーソドックスなフェイザーやフランジャー・サウンドを生み出すことができます。見た目は地味ですが、しっかり効果を発揮してくれますし、揺れモノのプラグインは余り多くないので持っておくと重宝すると思います。
面白いのがエフェクト成分をフィルタリングできるFIRフィルター。効果を掛ける帯域を調整できるので、高域だけ軽くフランジャーを掛ける…といった使い方もできます。
■MondoMod
同じくモジュレーション・プラグインですが、こちらはトレモロやビブラート、パンニングといった音量を揺らすプラグインです。
「AM」がトレモロ、「Rotation」がパン、「FM」がビブラートで、どれも揺れ具合を視覚的に確認できるので使いやすいと思います。LFO波形も5種類用意されていますし、テンポ同期も可能。少しマニアックですが、各プロセッサー毎にフェイズ・オフセットが調整できるので変態的なサウンドも作れます。
■MV2
一見、シンプルなEQのようにも見えますが、これはコンプ。音量の小さな部分と大きな部分を分けて処理できるというユニークなプラグインです。
フェーダー操作だけなので難しいことを考える余地すらありませんね(笑)。EQ感覚で使えるコンプで、トラックの質感調整やマキシマイズ用途に便利です。
またまた次回に続きます。次で終わる…と思います。
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