VSL / VIENNA ENSEMBLE PRO 7 レビュー

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講師の鈴木(@dawlessonです。

このblogを始め、Youtubeの動画でも度々話題に上げているViennaのホスティング・ツール、Vienna Ensemble Proの最新バージョン、Vienna Ensemble Pro 7(以下、VEPro7)がリリースされました!

新機能については以前の投稿でも触れましたが、実際に使ってみて感じた点を中心に、改めてレビュー形式でお送りしていこうと思います。

なお、発売日に初見状態で雑談しながらのライブ配信を行っておりましたが、改めて新機能がパッと分かるような動画を作っております。

目次

VEProを使う理由・メリット

昨今ですと導入される方も増え、大分浸透してきた感もありますが、改めてVEProを使う理由やホスティング・ツールとは何なのか…と言いますと、簡単に言えば

プラグインをDAWソフトとは別のプロセスとして実行することで、CPUリソースを有効活用するためのツール

という感じでしょうか。最近はパソコンのCPUパフォーマンスが上がっているとはいえ、複雑な処理をしているプラグインは多くのパソコン・リソースを必要…いわゆる”重い”状態になり、負荷が高くなると、再生が止まってしまったり音にノイズが乗ったり…といったトラブルにつながってきます。

そこで、そんなプラグインはDAWとは別のソフト上に起動することで、DAWに掛かる負荷を最小限に抑えましょう” というのがVEProの基本的な考え方。そしてVEProが凄いのは、単一パソコン内だけでなく、ネットワーク上の他のパソコンとも簡単にやりとりできる点にあります。つまり、”音源専用パソコン”がLAN(イーサネット)ケーブル1本だけで実現できるのです!

同じパソコン内で使う場合でも、プラグインはDAWとは別のソフト上で動くことになるので、DAW自体への負荷は最小限に抑えることができます。私自身、1台のパソコン上でVEProを実行していますが、よく”重い”と言われるようなインストルメントも、ほとんどCPU負荷を気にせず使っています。VEProを導入してから、CPUメーターを見ること自体がなくなった…といっても過言ではありません。

また、そういったパフォーマンス面でのメリットに加えて、音源とエフェクトの設定をまとめて「チャンネル・セット」として保存・リコールできたりと、あらゆる面でメリットがあります。この辺りに関しては、以前に動画でも紹介していますので、よろしければご参照ください。

Vienna Suite Pro直系のFXプラグイン

ということで、ここからが新機能です。まずはVEPro上のミキサーで使うことができるFXプラグインが追加されました。

Compressor Pro、Equalizer Pro、Exciter Pro、Limiter Pro、Analyzer Pro、Matrix Mixer Pro, Surround Balance Pro, Surround Pan Pro。

と結構な数が搭載されているのですが、これはViennaのエフェクト・バンドルである「VIENNA SUITE PRO」をベースにしたもの。VSPは10万円を超える高級バンドルですが、その中からベーシックな部分がVEPro上で使用可能です。

詳細は動画でご確認頂きたいのですが、このプラグイン群が最も優れているのがユーザー・インターフェイス。例えばコンプであれば、入出力やGRを波形として表示したり、EQはアナライザーが内蔵されていたり…と、どれもビジュアル的にサウンドを捉えることができます。

操作感も極めて良いので、ちょうどfabfilterに似た印象です。なお、全プラグインともグループという形でM/Sやサラウンドに対応。これが結構面白い使い方ができ、MidとSideやサラウンドの各チャンネルに別設定のエフェクトを掛けられるというだけでなく、ステレオでも8種類のセッティングを試す…的な用途にも使えるのではないかと。

EQは8バンドで、カーブやスロープも切り替え可能。選択周波数の音だけを抜き出して聞くこともできます。

“どれだけ圧縮されているか”が目で確認できるので、コンプの挙動が手に取るように分かります。

アナライザーも便利。M/Sにも対応しているので、各成分がどのようなバランスになっているのかもチェックできます。

オートメーション機能の改良

制作のワークフローとしては、多く進化を遂げたのがオートメーション機能です。

オートメーション自体は以前のバージョンからありましたが、中々使いにくく(笑)。どうしてか…というと、まず512のスロットに割り当てたいパラメーターをアサインします。これ自体はアンプ・シミュレーターのプラグインでもお馴染みの方法なので良いのですが、問題は、割り当てたパラメーターがDAWからは見えない(笑)。しかも、入力値がパラメーターに関係なく0〜1の範囲という。。。正直、ほとんど使っていませんでした…。

これまでのオートメーションの挙動。パラメーターのラベル(単位)に注目

今回から、アサインしているパラメーターの名前がDAW側にも反映されるようになり、ラベルもパラメーターに適したものになったので、オートメーション編集の作業効率は劇的に向上したと言えます。

バージョン7の挙動

プラグイン・マネージャーによる、管理機能

今回の新機能の中で、私個人がもっとも嬉しかったのが、コレ。VEPro上のどのプラグイン表示させるかどうかをカスタマイズできるようになりました。

これはDAWソフトではお馴染みの機能だと思いますが、沢山のプラグインがインストールされている環境では必須だと思います。例えばUADプラグインなどは、ライセンスを持っているかに関係なく、すべてのプラグインをインストールする必要がありますから、使えないプラグインまで表示されて逆に使いにくい…なんてことにもつながってきます。

VEProの場合は、AU(Mac)とVSTの両方を扱えるので、余計にリストがごちゃごちゃしがち。不要なものは非表示にすることで、一気にスッキリします。またプラグイン選択時のウィンドウ内でキーワード検索もできるようになっています。

直近に使ったプラグインや、お気に入りのプラグインを「フェイバリット」としてリストの上に表示させることもできるので、この辺りをカスタマイズすればかなり作業スピードが上がります!

ユーザー・インターフェイスの改良

また、ユーザー・インターフェイスの一部に改良が施されています。

Ver.6のように、インスタンスがタブ表示できるようになった! 的な劇的な変化ではありませんが、インスタンス部にMIDIやオーディオのステータスLEDやCPUの負荷情報が表示されるようになっています。

インスタンスやフォルダごとの無効化にも対応しており、この辺のON/OFFもほとんど待ち時間なく動作してくれます。プラグインをインサートした時や、DAWのプロジェクトを保存する際のタイムラグも短くなったような感じがあり、全体的に軽快な挙動になっているかと思います。

AU3(BETA)

遂にAU3プラグインが登場ですね! 現在はまだベータ版としての対応ですが、これによってインスタンス毎に最大で48のMIDIポートを扱えるようになります。768チャンネルを自由に…と、さすがにそこまで使うのは難しいと思いますが、Logicユーザーとしても、これは嬉しい!

本家のフォーラムを見る限り、Logic(Apple)側にも対応が必要な部分があるようなので、この後の展開にも注目していきたいですね。

EPIC ORCHESTRA 2.0

VEPro 7を購入すると貰えるオマケのオーケストラ・ライブラリです。約73GBとかなり巨大な音源で、SYNCHRON PLAYER上で動作します。

昔からVienna Instrumentsは使っており、SYNCHRON PLAYERは今回初めて触ったのですが、良い意味でViennaらしくない(笑)。もの凄くシンプルで、従来までのプレイヤーにあった小難しい感じもないですし、サウンドはViennaクオリティーですので、オーケストラ・ライブラリを持っていないという方にはかなりオススメかと思います。

まとめ

今回のバージョンアップ、個人的には順当な進化かな…と思っています。機能面で劇的な変化は無かったものの、すでに十分使いやすかったですし、他に替えのきかないツールでもありますから。。

とはいえ、今現在(5/9日)では数日おきにバグフィックスのアップデートが行われている状態ですので、完璧に安定しているかと言われると若干疑問があるのも事実かと。私の環境では最初は比較的安定しており、ライブ配信中も落ちるようなことはありませんでしたが、その後はバグフィックスの度に安定→不安定をくりかえしていました(笑)。このあたりは時間が解決してくれるかと。

ライセンスの販売形式が変わり、1ライセンス単位(ver.6までは3ライセンス使えた)の販売と大きな変化はありましたが、その分導入コストも抑えられているので、コストが理由で躊躇していた方も改めてチェックして頂ければと思います。

VEProの運用に関して、何かお悩みがありましたらレッスンもご検討くださいませ!

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