IK Multimedia / Precision Comp / Limiter レビュー(動画あり)
講師の鈴木(@dawlesson)です。
T-RackS モジュール、6製品目はNeveのド定番コンプ33609をモデリングした「Precision Comp / Limiter」を紹介しています。
ちなみに、Precisionというのは「精度」なんて意味の単語ですね。プレベ(Precision Bass)の語源も、フレットを付けたことで”正確なピッチで演奏できる” というのが由来になっていたハズ…。今回のネタとはまったく関係ありませんが(苦笑)。
今回も動画を作っています。動画も頑張っていきたいなぁ…と思っているので、ぜひチャンネル登録&高評価を頂けますとm(_ _)m
NEVE 33609
冒頭でも紹介した通り、Neveのステレオ・コンプレッサー33609をモデリングしたのが、Precision Comp / Limiter。実機について軽く触れておくと…
写真は現行モデルの「33609N」というモデルですが、最初期のモデルは1970年代に登場しています。元々はNeve 2254(これはWavesのV-Compのモデリング元ですね)のダイオード・ブリッジ・コンプレッサー(先日Rupert Neveから発売された535もコレですね)とカスタムのトランスで構成されたモデル。
記憶が確かならば、設計はGeoff Tanner氏。ビンテージ・モデルはもちろん、現行モデルは超高価です。。
パネルを見て分かる通り、コンプレッサーとリミッターが一緒になっています。シグナル・フローとしては、こんな感じ。
ハードウェアのパネルは左から見ると「リミッター」→「コンプ」の順になっていますが、回路上は「コンプ」→「リミッター」の順。つまり、コンプで音を均した後で、リミッターで持ち上げる。という使い方ができます。
とはいえ、Precision Comp / Limiterは実機と少しインターフェイスが違うので、間違えることはないと思いますが…。。
コンプレッサー・セクション
コンプ・セクションから見てみましょう。一般的なコンプのパラメーターですので、基本は簡単ですね。ちなみに、アタックは固定です(かなり早い)。
INPUT
実機にはないパラメーターで、±15dBの範囲で、入力レベルを1.5dB単位で調整できます。
基本はいじらなくてOKですが、ソースによってスレッショルドの範囲を補いたいときに便利ですね。コンプレッサー・セクションのON/OFFに関係なく働きます。
THRESHOLD
スレッショルドです。ここで設定した音量に対して、コンプレッションが働きます。ちなみに、ここの単位はdBu。DAWソフト上のレベル・メーターはdBFSなので、メーター読みとは単位が違うのでちょっと注意が必要かも…です。
RECOVERY
一般のコンプでリリースに相当するのがRecovery。タイムは選択式で、
100ms、400ms、800ms、1,500msの4段階+2種類のオート・リリース設定の6段階が選ぶことができます。
a1は40msとかなり早い設定ですが、高レベルが入力され続けたときには800msに。
a2は少し遅め。150msで、レベルが入力され続けると1,500msまで伸びていきます。
GAIN
メイクアップ・ゲインです。コンプでレベルが下がった分を持ち上げるために使用します。
また、この後段にリミッターが掛かります。つまり、リミッターを使う場合は、リミッター段への入力レベルと考えることもできます。
RATIO
圧縮率をコントロールします。選択できるのは、1.5:1、2:1、3:1、4:1、6:1の5段階。実機と同じですね。
COMP IN
コンプレッサーをONにします。
リミッター・セクション
THRESHOLD
リミッターのスレッショルドです。
RECOVERY
リミッターのリリース・タイムです。コンプ同様にタイムは選択式で、
50ms、100ms、200ms、800msの4段階+2種類のオート・リリース設定の6段階が選ぶことができます。
a1は40msと1,500ms、a2は150msと3,000msをレベルに応じて切り替えます。
OUTPUT
リミッターの出力レベル…つまり、プラグインの最終的なレベルを調整します。
ATTACK
アタック・タイムは、Slow(2msec)とFast(1msec)の2段階から切り替えることができます。
LIMIT IN
リミッターをONにします。
トラックにもバスにもOK
ステレオ・コンプレッサーということもあり、トラックからバス/ステム、マスターまで幅広く使えるコンプだと思います。
サウンド傾向としては、ナチュラル系。設定によっては激しく掛けることもできますが、個人的にはコンプ掛かってる? という程度のコンプレッションで使うのが本プラグインの魅力だと思っています。
実機同様、音のまとまりが強まって重心も落ちるので、2Mixをまとめる(マスタリングではなく)用途にも良いかと。T-RackSシリーズの場合はM/Sでも使えますので、ドラムなんかはM/Sで処理すると面白い音作りができます。
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