Waves / Diamond Bundle

講師の鈴木です。

今回はWavesのベーシック・バンドルの最上位モデルに位置づけられている「Diamond Bundle」を紹介します。Diamondになると、プラグインの総収録数は64。収録内容を把握するだけでも大変です。。

いつも通り、Platinumから追加されるプラグインに絞って紹介します。Platinumの収録プラグインについては、過去の記事をご参照くださいませ。

Waves / Platinum Bundleレビュー

L3 & L3-LL Ultramaximizer

Wavesプラグインの中でも、特に人気の高いLシリーズ。本blogでもLシリーズの比較記事はアクセスが多かったりするのですが、Platinumに収録されているL2をさらに改良したのが「L3 Ultramaximizer」。

L1 < L2 < L3の順で音色変化はナチュラルになっています。どちらも基本的な使い方は同じですが、LLというのはLow Latencyの略で、インサート時のプラグイン・レイテンシーを低減させたバージョンです。

通常のL3のプラグイン・レイテンシーは3,840Sample @48kHz。かなりの遅れが出てしまいます。それに対してL3-LLは64Sample@48kHzまで軽くなっています。レイテンシーが小さくなっただけでなく、音色もかなり違うので、まったく別のプラグインとして考えた方が良いと思います。

個人的には、圧倒的にL3-LLの方が好みで、アレンジ段階のラフミを送る場合などは、とりあえずマスターにL3-LLを掛けて書き出す…というのをよくやっています。

正直に言えば、今やもっと(音的な意味で)良いリミッターは沢山ありますが、使い勝手の良さ。そして掛けることで音がどう変化するのかが想像しやすいので、何だかんだ言っても手放せないプラグインの1つ。

Lシリーズのサウンドの違いについては、実際に聞き比べて頂くのが1番だと思いますので、聞いてみて下さい。

Waves / Lシリーズの比較記事

Center

これも大好きなプラグイン。MS処理でステレオの音像を簡単にコントロールできる製品です。使い方は画面を見た通りで、「Center」スライダーを操作すればCenterのモノラル成分が。「SIDES」スライダーで左右のSide成分の音量が個別に調整できます。

と、パッと見は非常にシンプルなプラグインですが、実はめちゃくちゃ細かい変化が起こっており、この工夫がWavesがWavesたる所以だと思っています。

例えば上部のつまみ。これは単なるEQ的なものではなく、LOW(低域)、HIGH(高域)、PUNCH(トランジェント)という3つの成分を、CenterとSideのどちらに振り分けるか…というパラメーター。例えばLOWをCENTER側に振るとSIDEから低域成分が消えて、すべてCENTERから出力されるようになる…というものです。なので、CENTERとSIDEのスライダーがどちらも0の場合、音は変化しません。

というのも、CENTERとSIDESスライダーを操作すると、ステレオ音像だけでなく周波数特性が変化します。具体的に言えばCENTERスライダーではミッドが。SIDESスライダーを操作するとロー(微妙にハイも)がカットされるので、ステレオ音像だけでなくトーン自体が変化してしまいます。このカーブ自体は、2Mixからボーカルだけをコントロールしたい、というシーンにピッタリなカーブだと思いますが、トーンが変化することは知っておく必要があると思います。そこで失われてしまった要素を戻してくれるのが、このつまみ。

この辺りの挙動は、マスター・トラックやステムにインサートするより、単体のトラックにインサートして弄ってみるとよく分かると思います。

ステレオ音像を調整するプラグインだと、同社のS1 Imagerも定番だと思いますが、Centerは音像を広げる/狭めるのではなく、センター成分(もしくはサイド成分)だけを持ち上げる…といった使い方ができるのが特徴。MSだから当たり前ですが…。S1とCenterは明確に用途の違うプラグインです。

Morphoder

8ボイスのボコーダー・プラグインです。10タイプの波形が用意されていて、簡単にボコーダー・サウンドを作ることができます。

また、フィルターはLinear Phase EQを搭載。フォルマントを弄ることもできます。

NLS Non-Linear Summer

コンソールを通したときのサチュレーション(歪み)を再現する、いわゆるサミング・プラグイン。

このプラグインはSSL 4000Gを再現した「Spike」、EMI TG12345 Mk4を再現する「Mike」、Neve 5116を再現する「Nevo」の3タイプのサウンドを切り替え可能。また、チャンネル用の「NLS Channel」と、バス・トラック用の「NLS Buss」という2種類のプラグインで構成されていて、併用することでDAWのミキサー上でコンソールのエミュレートができるよ、というコンセプトの製品です。VCAグループを使うと、パラメーターをリンクして一括コントロールも可能です。

「DRIVE」つまみを回していくと、歪みが加わります。全体的にWavesらしい(?)ハデな掛かり方をしてくれるので、この種のプラグインの中でもサウンド変化が分かりやすいと思います。

サウンドの傾向としては、

Spike=パキッ
Mike=ボフッ
Nevo=ムワッ

あえて擬音で表現してみましたが、概ねこんな印象を持っています。実機だと圧倒的にNeveが好きな私ですが(EMIは実機を知りませんが…)、NLSだとSpikeが好みだったりします。ちなみにVCCだと、またサウンドの傾向が変わってくるのが面白いところ。あまりモデル名を意識せず、好みの音が出るタイプを選ぶのが良いかなーと。

掛けるだけでアナログ感が! というのはちょっと言い過ぎだと思いますが、音作りやキャラを変化させる、という意味ではかなり有益なプラグインだと思います。

OneKnob Filter

1ノブで効果的なサウンド・メイクが行える! というのがOneKnobシリーズですが、シリーズの中で1番好きなのが、ローパス・フィルターのOneKnob Filterです。

フィルターのプラグイン自体、あまり数も多くないですし、逆に作りたい効果も限られていると思いますので、これで十分。というか、ベストマッチな場合がほとんどだと思います。もっと細かい音作りがしたい場合には、SoundToysのFilterFreakがオススメです。

レゾナンスはnone / moderate / high / extremeの4段階。どの設定値でも”イイ感じ”で鳴ってくれるので、ホント使いやすいと思います。

Q-Clone

数あるWavesプラグインの中でも、何に使うか良く分からないプラグインの上位にランクインするのでは? と勝手に思っているのですが、ある一定の人にとって、もの凄く便利。Q-Cloneは、その名の通りEQカーブをコピーすることのできるプラグインです。

もちろんプラグインの場合は、同時に使用できる数に制限がありませんので、Q-Cloneを使う必要はありませんが、ハードウェアEQの場合は別。同時に使える数=持っている数ですので、多くの場合、音作り次第プリントRECして…という作業を繰り返すことになると思いますが、Q-Cloneを使うことでアウトボードのEQカーブをDAW上に再現可能。もちろんトータル・リコールも行えます。

使い方自体は非常に簡単。ハードウェアEQにルーティングされたトラックに、コピー用の「Q-Capture」というプラグインをインサート。後はEQをインサートしたいトラックにQ-Cloneをインサートします。

Q-CaptureがQ-CloneとハードウェアEQのブリッジになるイメージです。この状態でハードウェア側のEQを弄ると、チャンネルにインサートしたQ-Clone上のEQカーブが変化します。音作りができたら、プラグイン上の「Hold」ボタンを押せば、設定が固定化されます。

この流れを見て分かる通り、EQ特性をコピーするのではなく、ハードウェアEQで設定したときのカーブをコピーしていますので、ちょうどEQ特性を「サンプリング」するようなもの。モデリング・プラグインのようにパラメーターを変化させたときの動きを再現することはできません。

そのため、サンプリングしたカーブを重ねていく「Add」モードも搭載。複数のカーブを重ね(合成)ることもできます。同一トラックに複数インサートして、複数バンドのEQを再現…というのも面白いかもしれませんね。

SoundShifter

ピッチ・シフターのプラグインです。Wavesプラグインの中では地味目(名前を聞くことが少ないという意味で)な印象がありますが、持っていると便利です。

ちなみに、上の画像は「Graphicコンポーネント」というPro Tools10〜のAudio Suiteのみで利用できる非リアルタイム・プラグイン。一般的な画面はこっちでしょうか。

パラメーターは見たまま。Transposeでピッチ・シフト量を決めたら、Ratioで掛かり具合を調整するだけです。比較的サウンド劣化が少ないのも特徴です。音楽制作においては、録音済みのデータのピッチ(キーを)上げ下げする、というのは良い結果を生まないですし、あまりやる機会がないと思いますが、エフェクティブな効果を作るときに重宝します。

1番分かりやすい例が、EDMのフィルなどで使われるピッチが上昇していくスネア・ロールでしょうか。サンプラーに取りこんでいる場合は、そちらのピッチ・ベンドでコントロールしても良いですが、サンプルを直貼りしている場合には、こういったピッチ・シフター・プラグインでオートメーションを書いてしまうのが楽です。

Trans-X

トランジェント…つまりサウンドのアタック成分をコントロールできるプラグインです。トランジェント・シェイパーというと、聞きなじみが深いでしょうか。要するにトランジェント制御に特化したコンプですね。

トランジェント・コントロール系だと、SPLが有名だと思いますが、Trans-Xが凄いのは、4つのバンドに独立してコントロールできる点。ローミッドは丸くして、ハイミッドで絞る。なんて使い方ができるので、一般的なトランジェント・シェイパーよりも細かい音作りが行えます。

WLM Plus Loudness Meter

ラウドネス・メーター・プラグインです。ARIB TR-B32、ITU、EBU、ATSC…といった、主要規格を準拠していますが、そもそもラウドネス自体、放送や映像コンテンツで使われるもので音楽制作にはあまり関係ないので、あまり使う機会はないでしょう…。

インター・サンプル・ピークを押さえ込める、トゥルー・ピーク・リミッターが付いているという部分もありますが、正直あまり意識しなくても良いかと。。

X-Click

クリック・ノイズを除去するプラグインです。

X-Crackle

プチ・ノイズを除去するプラグインです。この辺りが活躍するのは、レコードのデジタル化作業でしょうか。。

X-Hum

ハム・ノイズを除去します。

X-Noise

ヒス・ノイズやエアコンのノイズなどを取り除きます。

Z-Noise

素材からノイズ成分を検出することで、素材の中で移動するノイズも除去できる高性能ノイズ・リダクション・プラグインです。

 


まとめ

バンドルとしては、かなり高価な製品ですが、セール期間を狙えば十分手の届く価格で手に入れられると思います。

正直に言えば、ラウドネス・メーターやノイズ・リダクション系の使用頻度は極めて低いのが現実だと思いますが、L3シリーズやCenterなど便利なプラグインもバンドルされるので、Platinumと比較したときの費用対効果は決して悪くないと思います。

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