Tracktion / Waveform 9 レビュー(動画あり)
講師の鈴木(@dawlesson)です。
「どのDAWソフトがオススメですか?」なんて聞かれることも多いのですが、個人的には“どれでもいいんじゃないの?“なんて身も蓋もないことを思っております(苦笑)。いわゆる主要DAWソフトであれば、できることに絶対的な差はありませんので、ワークフローの違いは、慣れでどうとでもなるレベルかと…。
そんな中で、異彩を放っているのがTracktionのWaveform。その最新版が登場した…とのことで、早速入手&テストしてみました。最新のWaveform 9の新機能をまとめていきます。
各機能をチェックしている様子を、動画化しています。ちょっと長いですが、「概要」欄から各機能の項目にジャンプできるので、ぜひご覧頂ければと。※初見で撮ったものなので、グダつきがあるのはお許しを…。
Waveformってこんなソフト
新機能の前に、そもそもWaveformってどんなソフトなのか…
この辺りは以前のblogで詳しく紹介しているので、詳しく知りたい方はそちらを見て頂きたいのですが、ポイントとしては、
- 編集画面が最小限で、極めてシンプルで直感的に使える
- コード進行などをプリセット/提案してくれるパターン・ジェネレーターに代表される、作曲支援機能
- エフェクトのルーティングを細かくカスタマイズできる「ラック」
あたりでしょうか。
正直に言えば、いわゆる主要DAWソフトに比べて、MIDIやオーディオ共に編集機能は心許ないですし、ジャンルにもよりますが、これで完パケ。というのは現実的ではないと思います。
ただ、その分1つ1つの作業がサクサク進められるので、デモや曲の骨格を作るには便利。
Waveformでメロディーとラフの進行を作る → 普段のDAWソフトで細かく追い込んでいく
という流れが理想でしょうか。セカンドDAWというか、曲のアイディアを練るソフト。というのが個人的な印象です。
ラックの進化
Waveformの大きな特徴だった、ラック機能が進化。ラック内で使用しているエフェクト・モジュールを一覧表示できる「スタック・ビュー」や、エフェクトを追加したときに入出力を自動的にルーティングしてくれる「自動接続機能」が追加されました。これ、地味にかなり便利です。
また、後述の「カスタム・フェイスプレート」や「マクロ」を組み合わせることで、作業効率自体も向上しています。
カスタム・フェイスプレート
プラグイン・エフェクトのパラメーターの中から、好きなものだけを配置し、オリジナルのプラグイン・インターフェイスを作れるのがこの機能。
これ、かなり面白いです。パラメーターのアサインはもちろん、ボタンやスライダー、背景画像までフル・カスタマイズすることができます。よく使うパラメーターをフェイスプレートとして作成しておけば、いちいちプラグインのUIを開く必要がなくなります。
基本的な使い方としては、グリッド上につまみやボタンを配置し、そこに割り当てたいパラメーターを選べばOK。納得いくデザインを作り上げるには、時間とコツが必要になると思いますが、何より満足度が高いです(笑)。
現状はエディット・エリアに表示されるだけなので、将来的にプラグインのUI同様、ポップアップで起動したら最高かなぁ、と。
マクロ機能
複数のパラメーターを同期し、1つのコントロールで操作できるようにするのがマクロ機能です。このときに、数値を完全に一致させるのではなく、パラメーターごとにオフセット等を設定することができるのがミソ。
例えば…EQのゲインとQを連動させ、ゲインを上げていくに従って、Qが狭くなっていく… といった某SSL風EQカーブを再現する。
コンプのスレッショルドとレシオを同期させる…
など、アイディア次第で色々な使い方ができると思います。また、作成したマクロは、カスタム・フェイスプレート上にアサインできるので、組み合わせて使えばさらに便利になります。
コードトラック
Waveform の特長である、パターン・ジェネレーターと連携して使えるのが、コード・トラック。同名の機能は色々なDAWソフトにありますが、Waveformの場合は、コード・トラックで指定したコード名とパターン・ジェネレーターを同期させることが可能。
コードトラックを弄るだけで、曲全体のコードや、コード進行を一気に変更できる… という非常に便利な仕組み。
もちろん、特定のパートだけ連動させない…といった設定も可能です。
マルチサンプラー・インストゥルメント
新しいマルチ・サンプラーが追加されました。プロジェクトやハードディスクから、音声ファイルを取り込んで編集/トリガーできるのはもちろん、サンプラーの出力やOSの再生音を直接サンプリングできるのが特徴!
サンプリングしたファイルは、そのままスライスして、各ノートやベロシティ上にマッピングが可能です。
マルチトラック・プリセット
ドラムやコーラスなど、マルチ・トラックのクリップを、1つにまとめてプリセット化できる…というもの。一種のフォルダ/グループ機能とイメージするとわかりやすいと思います。
ただし、単なるフォルダ化ではなく、保存時にプレビューを同時に記録できるというのが特徴。トラック上に展開するときには、プレビュー(ステム)としてインポートするのか、それとも元のマルチ・トラックとしてインポートするのかを選択できるようになっています。
LFOモディファイア
LFOやステップ・シーケンサーなど6種類のツールを使って、様々なパラメーターを「揺らす」ことができます。使い方も、揺らしたい音源やエフェクト上にドラッグ&ドロップし、動かしたいパラメーターを選ぶだけ。
動きのあるサウンドを簡単に作ることができます。
まとめ
主要な機能はこんなところでしょうか。
動画でもコメントしていましたが、これで劇的に作業が変わる! というキャッチーなものというより、少しマニアックなカスタマイズ性が強化されたような印象です。個人的には、プラグイン・フェースプレートが気に入りました(笑)。
ぜひぜひ、試してみてください。
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