FabFilter / Pro-Q3 レビュー

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講師の鈴木(@dawlessonです。

今日から12月ですね。今年も残すところ1ヶ月…と考えると1年の短さを痛感します。。プラグイン界的には、ブラック・フライデー 〜 サイバー・マンデー 〜 年末セール 〜 年明けセール 〜 とイベントが目白押し。このタイミングで新しいプラグインをGETする方も多いと思います。

そんな中、突如発表/リリースされたのがFabFilterのPro-Q3。今や定番になっているEQプラグインですね。個人的にも初代モデルから愛用していて、特に色付け用途でない場合のファースト・チョイスEQ(同用途のコンプも、FabFilterのPro-C2)として多用しているだけに、リリース後詳しく見ないですぐに購入してしまいました(笑)。

Pro-Qシリーズの基本については、過去にアップしたPro-Q2の記事や動画をご覧頂くとして、本記事ではPro-Q3からの新機能を中心にお送りしていきます。

 

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目次

ダイナミックEQを搭載

ここ数年で耳にすることも多くなった、ダイナミックEQ。その名の通りダイナミック(動的)に動くイコライザーです。

…といってもイメージしにくいですよね。。

近い動作をするエフェクトとして、よく名前が挙げられるのがディエッサーです。ディエッサーはボーカルの歯擦音などを除去するエフェクトですが、EQのように常に一定にかかるのではなく、ボーカルの音量によって掛かる量が変化します。

ダイナミックEQもこれと同じで、常に同じカーブでカット/ブーストを行うのではなく、音量差によってかかり具合が動的に変化する、そんなEQです。※ダイナミックEQ、ディエッサー、マルチバンド・コンプは似ていますが、どれも得意とするものが微妙に違いますので、用途に合わせて使い分ける必要があります。念のため。。

 

有名どころだと、Brainworxのbx_dynEQ V2や、SonnoxのOxford Dynamic EQあたりでしょうか…。

ダイナミックEQが便利だと思っているのが生音系。例えばエレキ・ベースでは、特定のフレットだけ音が暴れる…ということが多いと思いますが、その場合に一律でEQでカットするのではなく、強い音が入ったタイミングだけEQを働かせる。なんて場合に便利です。マイク録りのドラムの処理なんかにも効果は絶大です。

逆に音源の場合は、ある程度トリートメントされた状態で音が鳴りますから、ダイナミックEQが必要とされるシーンは多くないのかな? とも(あくまで個人的な主観)。何が言いたいかというと、通常のEQよりダイナミックEQが優れている! という優劣の問題ではなく、また違うエフェクトなので使い分けて下さいね! ということです。

実際の使い方ですが、非常に簡単で、GAINつまみの外周にあるスライダーで、どの範囲で増減させるのか(RANGE)を設定するだけ。出力される音は、描いたEQカーブ+RANGEという挙動(つまり、EQカーブがオフセット)になります。

ブースト/カット挙動をスタートさせる音量をThresoldで調整しますが、デフォルトでAUTOになっているのもFabFilterらしいポイント。マニュアルで微調整したい場合は、パラメーター内の「AUTO」と書かれた部分をクリックすることで、Thresholdのスライダーが表示される仕組みです。

正直にいえば、私自身はこれまであまりダイナミックEQを使っていなかったのですが、普段使いのEQに付いたということで、色々試してみたいと思っています。

2019年3月8日追記

Ver3.1で、ダイナミックEQを外部サイドチェインでトリガーできるようになりました。AUTOボタンを押して、その中にある「サイドチェイン」ボタンをアクティブ(青点灯)させることで、使用可能です。

各トラックのかぶり(マスキング)帯域をチェックできる

FabFilterといえば、視覚的に分かりやすく操作できるのが特長。EQの場合は、周波数アナライザーで周波数分布を見ながらEQ処理できますが、この機能が大幅に向上! なんと同プロジェクト内の別トラックにインサートされた、他のPro-Q3のアナライザーをレイヤーして表示できるようになりました。

例えば、低域でぶつかりがちなキックとベースをレイヤー表示すると…

こんな感じになります。

また、要素が大きく被っている部分…つまりマスキングが起こっている範囲は、薄い赤でハイライト表示してくれるので、どこを処理すれば良いのか…がひと目で分かるようになっています。

iZotopeのNeutron2が似たような機能で注目を集めていますね!Neutronに関してはElementしか触ったことがありませんが、汎用性で言えば圧倒的にPro-Q3かなぁと。

Pro-Q3の場合は、EQのPre / Postのアナライザーも表示できますので、処理前後のグラフを見ながら弄れる。しかも、CPU負荷もほとんど気にならないレベルで低い。 というのがポイントになるかと思います。

周波数のピークを表示できる

アナライザー機能と併せて…というよりも拡張機能として追加されたのが、Spectram Grab。アナライザーの画面に数秒カーソルを当てていると、周波数のピークを検出して画面上にポイントをリアルタイムに表示してくれるというものです。

表示だけでなく、そのままマウスでポイントを上下すればEQが設定できます。EQは周波数のピーク部分を弄るのが一番効果が大きいですから、これが凄く便利。

帯域のかぶりをレイヤー表示させつつ…と組み合わせて使うと、マスキング処理の悩みのほとんどは簡単に解決できるのかなぁ、と。

もちろん、あくまで「周波数分布」でしかありませんし、実際にはそのトラックの音量によっても聞こえ方は変化しますから耳で聴いたときの変化を一番に考える必要はありますが、十分過ぎるほど参考になると思います。

EQカーブとスロープの追加

元々、かなりのバリエーションが選べるPro-Q2ですが、Pro-Q3ではさらにカーブとスロープが追加されています。

Flat Tilt

ある周波数を基点として、直線的なEQカーブを設定するのがFlat Tiltです。Tilt自体は以前からありましたが、完全に直線になっているのがポイント。

正直「これ、いるかな??」と思いましたが、実際に使ってみるとなるほど、イメージに近い(例:低域落として高域だしたい!)変化がパッと作れます。

Bricwall Slope

スロープでは、選択した周波数以下/以上をバッサリとカットするBricwallスロープが追加。なお、このスロープはEQカーブをローカット/ハイカットのときだけ選択可能です。

これまでの最大値96dbよりも綺麗にスパッと切れるので、完全に通したくない場合に便利ですね!

サウンド変化は? まとめ

その他にもサラウンド・フォーマットにも対応しています。

Pro-Q2を愛用していた人の中には、Pro-Q3になって音はどうなったの? と気にされる人もいるかと思いますが、1日使った感じ、良くも悪くも今までと変わらないかなぁと(笑)。

機能は追加されていますが、その分CPU負荷が高くなったり、特別に動作がモッサリした印象もありません(他のFab同様、違うバージョンの共存可)し、EQプラグインとして着実にレベルアップしているので、これまで以上に“持っておきたいEQ“になったのかなぁ、と思っています。

余談ですが、FabFilterのプラグインはどれも本当に優秀なので、バンドルで手に入れるのがオススメです(笑)。

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