FabFilter / Pro-Q2 レビュー

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講師の鈴木です。

曲を作っていて1番使用頻度の高いエフェクトといえば、やはりEQとコンプではないでしょうか。販売されているプラグインを見ても、圧倒的に多いのがこの2つだと思います。

どちらも「必須」のエフェクトですが、使用頻度で言えば個人的にはEQの方が高いと思います。コンプは素材によっては必須ではありませんから。今回は、そんなEQプラグインの中で個人的にここ数年のファースト・チョイスになっているFabFilterの「Pro-Q2」を紹介します。かなり多機能なプラグインなので、特徴的な部分に厳選して見ていきます。

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とにかく使いやすい

最近使っている人も多いと思いますが、Pro-Q2をまず最初に立ち上げている1番の理由は「使いやすい」から。古今東西、色々なEQプラグインが存在していますが、”EQポイントを探してカーブを描く”という基本動作のやりやすさは随一だと思います。ポイントはいくつかありますが、やっぱりEQポイントの自由度が高いのが1番。
通常のEQは、「○バンド」という形でEQポイントが決まっているケースがほとんどですが、Pro-Q2は24ポイントまで自由に設定可能。グラフィック上をダブル・クリックするだけで瞬時にアクセスできます。
EQポイントを追加するとき、低域/高域部分をクリックすれば最初からLow / High Shelfに設定された状態で起動してくれるので、不要な帯域をサクっと削れます。

マウス操作が最小限

EQを弄るときには、周波数、ゲイン、Qという3つのパラメーターが基本になりますが、わざわざパラメーターにカーソルを合わせなくても、ショートカットでパラメーターを変更できるのもPro-Q2の使いやすいポイント。
まず普通にEQポイントをドラッグすると、左右の操作で周波数。上下の操作でゲインが変化します。これは多くのEQで可能ですが、Pro-Q2が便利なのはここから。

ダブル・クリック:周波数の数値入力
command+ドラッグ:Q幅の変更
sfift+ドラッグ:ポインタの動きが小さくなり、細かな微調整が行える
option+ドラッグ:EQポイントをマウスで掴み、最初に動かした方向(上下/左右)のパラメーターだけ変更。もう一方を固定したまま動かすことができる
option+クリック:該当バンドをバイパス

といった挙動になります。つまり、EQポイントを追加したら、そのままカーソルを他のパラメーターに移動することなく、基本動作が行えるという訳です。

多彩なフィルター・カーブ

2016_proq2_2また、フィルター・カーブのバリエーションも多いです。全てのバンドに「ベル」、「ローシェルフ」、「ローカット」、「ハイシェルフ」、「ハイカット」、「ノッチ」、「バンドパス」、「ティルトシェルフ」の計8タイプを装備。切り替えることができます。

 

ちなみに、カーブの切り替えは、EQポイント選択時に表示されるポップアップで切り替える、もしくはEQポイントを右クリック(control + クリック)から変更することができます。
スロープも「6db/oct」、「12db/oct」、「18db/oct」、「24db/oct」、「30db/oct」、「36db/oct」、「48db/oct」、「72db/oct」、「96db/oct」から選択可能(フィルター・カーブによって異なります)。96db/octというのはかなり強力です。とは言え、そこまでスパっと切れるという印象はありません。

アナライザーとソロ機能

最近増えてきていますが、スペクトラム・アナライザーを内蔵しているので、グラフィックを見ながらのEQが行えます。アナライザーはEQ前の「Pre」と処理後の「Post」、「SC」から選べて、複数選択可能。動作スピードや表示レンジなどカスタマイズも行えます。処理前後の波形を見比べながらEQが行える、というアナライザーとEQポイントの自由度の高さが、Pro-Q2が”使いやすい”と言われる大きな理由だと思います。

2016_proq2_4また、各EQバンドには赤いヘッドホンのボタンが用意されていて、このボタンをクリックするとその帯域だけがソロ再生される仕組み。EQポイントを探すときに重宝します。
アナライザーのセクションには、サイドチェインで受けた他のトラックの周波数分布をコピーするEQ Matchという機能もありますが、これは使っていません。周波数成分だけをコピーしたところで、聞こえ方はまったく違いますから…。

マスタリング用途に対応

2016_proq2_6各バンドはステレオ、もしくは左右どちらかのチャンネルに対してのみ動作させることも可能。例えば左チャンネルの低域だけカットする…なんて使い方も行えます。
また、位相オプションとして位相は変わるけどレイテンシーの発生しない「ゼロ・レイテンシー」、位相変化の起きない「リニアフェイズ・モード」、そして中間の「ナチュラル・フェイズ」の3タイプから選択できます。音質を考えると位相ズレがないのが理想…と思ってしまいがちですが、位相云々よりもサウンド

その他にもチャンネル・モード自体をMSで使うこともできますし、チャンネルにインサートするミキシング用EQからマスタリングEQまで、どんなシーンでも対応できる機能が満載です。

Pro-Q2が苦手な部分

Pro-Q2のレビューなどでよく見かけるのが「音が良い」とか「万能」といった表記。確かにどの面から見ても優秀なEQだと思いますが、苦手な部分もあります。
というのも補正目的でカットで使う分は申し分ないのですが、全体的な掛かり具合が甘め。良く言えばナチュラルなので、○Hz以下をバッサリカットする! とかブーストさせて積極的に音を作っていく用途には不向きだと思います。これは音の良し悪しという話ではなく、他のFabFilter製品にも共通しているサウンド・キャラクターで、モチっとするウォーム系というだけ。
そのため、迫力やパンチの効いた音が欲しいときには、Pro-Q2でカーブいじくり回すよりも、他のアナログEQのモデリング・プラグインを使った方が早く、かつイメージ通りの音が作れると思います。

とは言っても万能性、平均点の高さで言えば間違いなく優秀ですから、DAWの付属EQから最初に買うプラグインとしてもかなりオススメです。

 

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