Softube / Tube-Tech Compressor Collection CL 1B MK II レビュー

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講師の鈴木(@dawlessonです。

久々のプラグインのレビューをやってみたいと思います。紹介/レビューを書きたいプラグインは色々あるのですが、いざ書こうと思うとどれから書いたものか…と悩んでしまい(笑)。

私事ではありますが、先日Macを買い換えてゼロからシステムを構築したのですが、その際に使用頻度の低くなっていたプラグインを一気に切り捨てました。いわゆる断捨離って奴でしょうか。個人的に“好き”なプラグインは、抜群に音が良いけど使いにくいものより、そこそこの音質でも軽快な動作と操作的に使いやすいものの方が好みなのですが、今回紹介するSoftubeの「Tube-Tech Compressor Collection」は、まさに軽くて音が良い。そんな理想的なプラグインの1つだと思っています。

目次

TUBE-TECH CL1B

本ブログを見て頂いている方にとっては、お馴染みのコンプだと思いますが、一応概要から。

CL1Bは、デンマークのTUBE-TECH社が誇るハードウェアのコンプレッサー。その名の通り真空管が使われています。傾向として、プラグイン化されるアウトボードはオールド/ヴィンテージと呼ばれるものが多いと思いますが、CL1Bについてはバリバリの現行品です。

CL1B  604,800円

ブルー・フェイスが目を惹くCL1Bですが、スタジオでは定番ですね! スタジオ定番コンプというと、1176というイメージが強いと思いますが、使い勝手も含めて個人的にはDistressorやCL1Bの方が好みだったりします。

真空管が使われてはいますが、真空管は出力段に設けられており、リダクション回路自体はオプティカル素子が使われた光学式(オプト)コンプです。オプト・コンプというと、LA 2Aが有名ですが、アタック/リリースがコントロールできる分、音作りの自由度はCL1Bの方が遙かに柔軟です。サウンド自体も、非常にクリア。

Tube-Tech Compressor Collection

今回紹介するのは、Softubeの「Tube-Tech Compressor Collection」に収録されている「CL 1B MK II 」ですが、プラグインにも色々なバージョンがあります。

初代…というか元々はTC Electronicが販売していたPowercoreシリーズ用のプラグインとして登場しました。UADのようなDSPを使ったシステムです。当時はPowercore > UAD という勢力図でした(笑)。私も最初に手に入れたのは、PowerCore用のCL1Bです。当時のプラグインを遙かに凌駕するクオリティーでただただ驚いた記憶があります。

その後、Powercoreが終了。Softubeからネイティブ・プラグインとして発売されます。というか、元々Powercore用のCL1Bのモデリングを手がけていたのがSoftubeだった訳ですが…。このネイティブ・プラグインはUADにも移植されています。つまり、この辺りのCL1BはすべてSoftubeのプラグインということですね。

そして今年(2018年)に、最新のモデリング技術で完全リファインされたのが「Tube-Tech Compressor Collection」です。同時にPultec EQも更新されていますが、今やPultecは他にも素晴らしいプラグインがありますが、CL1Bに関してはオンリーワンの存在ではないかと思います。

CL 1B MK IIのパラメーター

パラメーターはシンプルですが、一応解説を。

GAIN

コンプで圧縮された分の音量を稼ぎ、最終的な出力ボリュームを設定します。見た目上、一番最初に通っているように見えますが、実際はコンプの後段に入っていますので、スレッショルド値には影響を与えません。

調整域はOFF〜+30dBです。

RATIO

圧縮比率を調整するお馴染みのパラメーターですね。調整域は2:1〜10:0までです。

THRESHOLD

コンプが動作をスタートする“しきい値”を設定します。調整域は+20〜-41dBです(※)

METER

メーターに表示する項目を切り替えます。

選択肢は「Input(入力レベル)」、「Compression(ゲイン・リダクション)」、「Output(出力レベル)」の3つです。

ちなみに、CL1Bは-18dBFSにキャリブレートされています。つまり、-18dBFSのサイン波を入力したときに、CL1B上で「0 VU」として扱われます。スレッショルドにも関係する重要なファクターですので、頭の片隅において置いてください。

ATTACK

アタックタイムを設定します。調整域は、0.5〜300msecまで。LA-2Aが10msecということを考えると、かなりコントロールがしやすいということが分かると思います。

RELEASE

リリースタイムを設定します。こちらの調整域は0.05〜10sec(※msecではありません)です。LA-2Aの場合は、50%のリリースまで0.06Sec、完全なリリースまで0.5~5secとされていますので、こちらも大分拡張されているのが分かりますね。

attack / release SELECT

アタック/リリースの挙動を3タイプから選択することができます。

FIXED:アタック 1msec、リリース 50msec に固定

MANUAL:ATTACK、RELEASEの値に従う

FIX / MAN:アタックは固定(速い)。RELEASEは可変というハイブリットな動作です。

このモードのときは、ATTACKのパラメーターで、ピークを越えてからリリースに移行するまでの時間をコントロールします。

※Attackを早くすると、リリースが有効になるまでの時間が長く。遅くすれば、リリースまでの時間が短くなります。

つまり、ピークの長さに応じたコンプレッションを作ることができるというもので、バスやステムで使う場合はこのモードがオススメです。

sidechain BUS SELECT

実機では、複数台のCL1Bをリンクするための機能でしたが、プラグイン版では挙動が異なり、通常のコンプとして使うのか(Int)、他のトラックの信号を受けてダッキング的に動作させるのか(ext)の2つの動作を切り替えます。

CL1B Mk IIの追加パラメーター

ここまでのパラメーターは、旧Native版、UAD版ともに共通ですが、Mk IIになって2つのパラメーターが追加されています。

sidechain LOW CUT

コンプレッサーを低域ソースでトリガーさせないように、ローカットを80Hz/220Hzで設定できます。このスイッチを入れても、その帯域自体がカットされるわけではなく、その帯域でコンプが動作しなくなるだけです。

PARALEL COMPRESSON

パラレル・コンプレッション…つまり、コンプ音に原音を加えることができる機能です。

サウンド・インプレッション。Mk I(無印)との違い

大分前置きが長くなってしまいましたが、最新のCL 1B MK IIは、ただただ良いです(笑)。前バージョンでも十分(現在“良い“と言われているプラグインとも十分戦えた)クオリティーだと思っていましたが、聴き比べると差は歴然です。

何が違うかといえば、ナチュラルさと奥行き感の表現。無印では、激しめに圧縮したときにグチャッとプラグイン特有の潰れ方をしてしまっていましたが、Mk IIでは極めて自然にアタックを残してくれます。いわゆる、ハードの挙動という感じでしょうか。

Tube-Tech Compressor Collectionには、MkI とMk IIが両方バンドルされているのですが、CPU負荷も大きく変わることもありませんし、特別な理由が無ければMk IIを使うことになると思います。

あと旧版に比べるとユーザー・インターフェイスもかなり大きくなっているので、昨今の高解像度ディスプレイでも作業しやすいと思います。サウンドとは直接関係ありませんが、グラフィックも実機に近づいてカッコ良くなっています(笑)。

CL1Bの主な用途

最後にCL1Bの主な用途について…ですが、基本的にはLA-2Aと同じくダイナミクスのコントロールに向いています。よく使われるパートだと、ボーカルやアコギ、ベースやストリングスなどでしょうか。コントロールが効くとはいえ、基本的にアタックは遅いので、当然ピークを潰すような用途には向きません。

LA-2Aほど音色がナローにならないので、汎用性という意味ではCL1Bの方が使いやすいです。音作りが楽なこともあり、ついついインサートしてしまいます。。

個人的には、サイドチェインも付いたことでドラムバスに掛けるのもアリかなぁ、と。キャラクターのハッキリとしたコンプではありますが、汎用性はめちゃくちゃ高いです。

 


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