【レビュー】PLUGIN ALLIANCE / bx_townhouse Buss Compressor
講師の鈴木(@dawlesson)です。
今回はPlugin Alliance(以下、PA)の「bx_townhouse Buss Compressor」を紹介してみようと思います。
PAは個人的に昔から大好きなブランドで、クオリティーも高くて何より動作が軽くてレイテンシーを気にせず使えるものも多いので、トラックからマスター・バスまで色々なところで使っているのですが、そんな中でもbx_townhouse Buss Compressorは使用頻度が高めだったりします。
タウンハウス・スタジオの改造モデルがベース
ご覧頂いて分かる通り、bx_townhouse Buss CompressorはVCAコンプの定番、SSL(Solid State Logic)のステレオ・バス・コンプレッサーをモデリングしたプラグインです。
バス・コンプといえば、各社から様々なプラグインが販売されていますが、どれもキャラクターが違って面白かったりします。以前に聴き比べ動画をアップしておりましたので、ぜひ併せてご参考くださいませ。
上の動画で紹介した… というよりも、世の中の多くは「SL 4000Gシリーズ」のセンターコンプをモデリングしたものです。それに対し、bx_townhouse Buss Compressorは、それより古いSL 4000Bをモデリング。しかも、西ロンドンにあったタウンハウス・スタジオの改造モデルを、Barinworxがモデリング、プラグイン化したというのが大きな特徴です。
タウンハウス・スタジオといえば、エルトン・ジョン、クイーン、フィル・コリンズ、ザ・ジャム、エイジア、ブライアン・フェリー、コールドプレイ、ミューズ、デュラン・デュラン、ジャミロクワイ、カイリー・ミノーグ、オアシス… 超一流ミュージシャンが使用したスタジオとしても有名。wikipediaによると、SSLのBシリーズをイギリスで初めて導入したスタジオでもあるようです。
少し話題は逸れましたが…プラグインのマニュアルによると、モデリングの元になったのはスタジオのメンテナンス・スタッフが改造したモデルで、ノックダウンされた世界初の「アウトボード」化されたバス・コンプレッサーということです。
基本パラメーター解説
改造モデルとはいっても、ベースはSSLバス・コンプですので、基本となるパラメーターはお馴染みのものが並びます。
- Threshold:スレッショルド
- Ratio:圧縮比。2:1、4:1、10:1の3ポジションから選択
- Attack:アタック・タイム。0.1ms, 0.3ms, 1ms, 3ms, 10ms, 30ms.の6ポジションから選択
- Release:リリース・タイム。0.1ms, 0.3ms, 0.6ms, 1.2s、プログラム・オートの5ポジションから選択
- Makeup:レベル補正
- Auto Fade:フェードイン/アウトを行う。フェード・タイムは1〜60秒
また、実機にはなかった拡張機能として4つのパラメーターが追加されています。
- ・Headroom:機器のヘッドルームを調整。右回し(+方向)でヘッドルームを広げ、左回し(-方向)で逆に狭めます。コンプレッション量の微調整に便利です!
- ・V-Gain:アナログ回路が生み出すノイズを再現します。レベルを上げるほど、ノイズ量が増えます。
- ・SC Filter:コンプの制御信号にハイパス・フィルターを設定します。
- ・Mix:原音とコンプレッション・サウンドのミックス・バランスを調整します。
音作りにおいては、特にHeadroomとSC Filterはめちゃくちゃ便利です!
プラグインとは思えない、自然なアタック感と奥行き感
先述の通り、モデリング元が違うとは言っても、他社のSSLバス・コンプ・プラグインとの違いは気になる所…。
バス・コンプ特有のグルー(のり)効果はもちろん抜群で、通すだけで一体感を生み出してくれるのですが、個人的に他社のプラグインとの決定的な違いはアタックの表現力ではないかと思います。プラグインの場合、どうしても平面的な音になってしまう傾向があるのですが、bx_townhouse Buss Compressorはその傾向が薄く、アウトボードのコンプのような立体的で奥行きのあるサウンドが簡単に作れます。
この辺りは好みにもよると思いますが、質感は手持ちのバス・コンプの中で1番好みです。プラグイン自体、他社と比べて新し目ということもありますが、かなり良いプラグインだと思いますので、バスコンプを探している方は、ぜひ一度お試しくださいませ。
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