Marshall / CODE25

講師の鈴木です。
ここ最近、BIAS Headを始めデジタルのアンプが話題になっていますね。
今回もそんな1つ、MarshallのCODE25を紹介します。

Marshallと言えばギター・アンプのスタンダードですが、CODEは初のフル・デジタル・アンプとして発表時からかなり話題になっていましたね。ギター・アンプ的主観で、というのは他のサイトでも散々紹介されるでしょうし、そういう純ギタリストの方はこのサイトを見ていることもないでしょうから(笑)、あくまでレコーディング・ツールとしての観点から見てみたいと思います。

Marshall + Softube

ギター・アンプにデジタル技術が使われること自体は、今や決して珍しいことではありません。というよりも、今やプラクティス・アンプでデジタル技術が使われていないことの方が希と言ってもいいでしょう。

しかし、多くはプリアンプ・セクションだけモデリングだったり、エフェクターがデジタルだったりと、部分的に使われるケースが一般的だと思うのですが、CODEは「フル・デジタル」。プリアンプはもちろん、パワーアンプからキャビネットに至るまでモデリングが使われていて、それらを組み合わせることができる…という、まんま「アンプ・シミュレーター」です。

そして、このモデリング部を手がけているのが、プラグインでお馴染みのSoftube社。最近だとUADのアンプ・プラグインも手がけていたりと、アウトボードだけでなくギター系シミュレーションでも存在感を発揮しつつありますね。CODEでは「MST」なんて呼ばれていますが、なんてことなく Marshall Softube Technologyの略のようで。要するにMarshall監修のSoftubeモデリングをアンプ化した製品といったところです。

モデリング・セクション

2016_code_2一般的なモデリング・アンプの場合、自社製品だけでなく他社製品を含む、いわゆる「定番アンプ」のサウンドを収録するケースがほとんどだと思いますが、CODEの収録モデルはすべて歴代のMarshallアンプ。すごく割り切った設計です。収録タイプは、以下の通りです。

プリアンプ(15種類)
・JTM45 2245:Marshall初のオリジナル・アンプ。
・1962 Bluesbreaker:Marshall初のコンボ・アンプでクラプトンが”John Mayall’s Bluesbreakers”で使用したのが有名ですね。
・1959SLP Plexi:EVHで一斉を風靡したSuper Lead。いわゆるブラウン・サウンド。
・JCM800 2203:シミュレーターではお馴染みのJCM800。
・JCM2555 Silver Jubilee:Marshall 25周年を記念して作られたモデルで、JCM800の2203、2204をベースにしていながらも3つのゲイン・モードを持っています。
・JCM2000 DSL100:時代と共にハイゲイン化が図られた、現代マーシャルのサウンドはこの辺りから始まります。
・JVM410H:それぞれ3つのモードを備えた4チャンネル仕様で、多彩なトーンを得られる最新モデル。

これらに、プリアンプなしのナチュラルやアコースティック・シミュレーターなどを加えた計15タイプを収録。

パワーアンプ(4種類)
・EL34:クラスA/B、100ワット
・5881クラスA/B、30ワット
・EL84:クラスA、30ワット
・6L6:クラスA/B、100ワット

キャビネット(8種類)
・1960:4 x 12 Celestion G12-T75
・1960V:4 x 12 Celestion Vintage
・1960X:4 x 12 Celestion G12M-25
・1960HW:4 x 12 Celestion G12H-30
・1936:2 x 12 Celestion G12-T75
・1936V:2 x 12 Celestion Vintage
・1912:1 x 12 Celestion G12-B150
・1974CX:1 x 12 Handwired G12M-20

3系統のエフェクター

また、エフェクトもプリアンプに入る前に置かれたストンプ・ボックス(PreFX) + 3系統のセンド・リターン・エフェクトも用意されています。

ストンプ・ボックス / プリFX
・コンプレッサー
・ディストーション:Mrshall Guv’norシミュレート、OverDrive、Distorionから選択可
・オートワウ
・ピッチシフター

MOD
・コーラス:コーラスとビブラートを切り替え可
・フランジャー:ジェットとメタリックを切り替え可
・フェイザー:クラシックとバイブを切り替え可
・トレモロ:バルブとスクエアを切り替え可

DEL
・スタジオ
・ヴィンテージ
・マルチ
・リバース

REV
・ルーム
・ホール
・スプリング
・スタジアム

使い勝手は?

2016_code_3基本のオペレーションは、パネル上のボタンを押すとON/OFF。長押しするとエディット・モードに入れるというもの。エディット・モードでは、ディスプレイ下のつまみを押し込んでパラメーターを選択。回して編集というタイプ。正直、お世辞にも使いやすいとは言えません。まぁ、サイズの関係でここは致し方ないかと。
そこで、必須になるのがiOS/Android上で動作するMarshall GatewayTMアプリ。CODEとbluetooth接続することで、全パラメーターをリモートすることができます。タッチ操作なので微妙な調整は難しいのですがパラメーター状態をひと目で確認することができるのでとても便利です。
また、Bluetooth接続すると、デバイス側からはスピーカー(再生機器)として扱われるので、スマホ内の音楽をCODEのスピーカーで再生することもできます。

サウンド・インプレッション

前置きが長くなってしまいましたが、サウンドについて。まず純粋なギター・アンプとして使ったときの印象はすごく良かったです。プリセットはエフェクトがゴテゴテなので、1つずつ外しながら弾いていたのですが、どのプリアンプ・タイプも、確かにこういう感じだよね! というサウンド。

プリとキャビを弄るだけで、かなり遊べます。CODE25の場合は搭載するスピーカーが10インチ1発ですから、スタックと比べるのもアレですが… 雰囲気は十二分に味わえます。ちゃんとMarshallを弾いてる! という感覚は、最近のプラクティス・アンプの中でもかなり上位に位置するかと。確実にお値段以上だと思います。もちろん、レイテンシーもまったく感じません。

ちなみに、プリアンプを「ナチュラル」にするとリニアな特性のアンプになるので、外部のシミュレーターやプリアンプを組み合わせて使うという用途もOKです。
キャビネット・シミュレーターまで入っているからか、それを活かすためにスピーカー自体は非常にクセがありません。フルレンジですし、どうしても高域の再生能力は落ち込んでしまうものの、mp3を流しても違和感なく聞けます。

レコーディング用途ではどうなの?

ここからは音楽制作やレコーディングで使うという視点で見ていこうと思います。
Softubeによるモデリングという点もそうですし、CODEにはヘッドホン端子に加えてUSB端子もあり、USBはオーディオ・インターフェイスにもなるよ…。なんてレコーディングを意識させる仕様ですが、残念ながらこれらを使うことはないと思います。

まずライン・アウトの音ですが、スピーカーで鳴っていた音が嘘のように空気感がなくなって、いわゆるライン臭くなってしまいます。出音が良かっただけに、ちょっと期待したのですが、キャビネットにマイクを立てたのとは決定的に違う音がします。

と、酷評しましたが…これは何もCODEに限った話ではなく、どのアンプにも共通して言えることですのである意味で当たり前かと。アンプのヘッドホン端子や、ラインアウト端子の音を聞いたことのある方であれば、”この感じ”を分かって頂けるかと思います。
これなら、プラグインのアンプ・シミュレーターの方が音作りも追い込めますし、使い勝手が良いと思います。

次にオーディオ・インターフェイス機能ですが、何よりDAWをやっているならば、専用のオーディオ・インターフェイスを持っている人がほとんどでしょうから、あえてCODEをインターフェイスとして使うメリットは、「別に買わなくても済む」という以外にはありませんから。
サウンド・クオリティー的にもパフォーマンス的にはもちろん、何より使い勝手の面から見ても、DAWをやるのであれば専用のオーディオ・インターフェイスを用意するのがベストです。

マイク録りなら全然アリ!

あえて「ラインで使う」なんて視点で考えるとこうなってしまいますが(苦笑)、CODEはアンプなので、ラインでイマイチなのは当たり前。やはりアンプとして使うのが一番だと思います。
なので、レコーディング用途でも、マイク録りするのであればかなりオススメ。中に入っているのはシミュレーターなので、真空管アンプと違って小音量でもそこまで音は変わりません。また、コントロールをMarshall GatewayTMアプリから行うなら、部屋から出してしまうのもアリです。

マイク録りは面倒くさい…なんて人も多いと思いますが、もしデジタルのアンプ・シミュレーターしか触れたことのないという人には、ぜひマイク録りを試して頂きたいです。確かにマイクを立てる手間もありますし、プラグインのように音色の差し替えもできない、というデメリットはありますが、プラグインでは出せない質感が簡単に出せますし、マイクの位置でどのように音色が変化するのかをプラグインのシミュレーター以上にシビアに見ることができます。実アンプのマイキング・ノウハウがあると、プラグイン上での音作りも楽になると思います。

マイクはShureのSM 57あたりで十分なので、ぜひ試してみてください。

まとめ

大分長くなってしまいましたが、Marshall初のフル・デジタル・アンプということで話題のCODE。純粋にアンプとして見たときの完成度はかなり高いと思います。しかし、モデリングだからといって、ライン目的で使うのはちょっと違うかなーと。まぁ、元々そんな人は希なのかもしれませんが。。
利便性だけを取ればプラグインが手軽で、コストも安いと思いますが、パソコンの電源を入れなくても電源ONですぐに音が出て、ノーレイテンシーで弾ける。そして一台でかなりのバリエーションの音が作れる。DAWに慣れている人ほど、逆にこういったアナログの部分に魅力を感じて頂けるのではないかと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。