Cakewalk / SONAR 2017.05 アップデートの新機能【動画連動】
講師の鈴木です。
先月に引き続き、Calewalk / SONARの最新アップデートで追加された主な新機能を紹介していきます。
余談ですが、Cakewalk社は今年で30周年みたいですね。
リップル編集
1つ目の新機能が「リップル編集」機能。
動画編集ソフトではメジャーな機能だと思いますが、DAWソフトでは珍しいような気がします。どんなことができるのか。口で説明するのは難しいのですが、リージョン(クリップ)を移動させるときに、選択した以外のクリップとリンク。時間感覚を保ったまま移動できる機能です。
機能にはメイン画面内の「オプション」メニューからアクセスできます。
ここで「選択したクリップのリップル編集」を選択すると、選択したクリップと、その後に続くすべてのクリップが同期。
「すべてのクリップのリップル編集」を選べば、同一タイミングにあるクリップと、それ以降のすべてのクリップが同時に移動してくれます。
この機能が活きてくるのは、やはりアレンジ作業。ここに1小節ブレイク入れたいな…とか時間軸での編集をする場合、この機能をONにすればスマートにエディットが行えます。
もちろん、それ以降のクリップを全選択して移動…というのもOKですが(というよりも、これまではその方法をしていたと思います)、あるクリップだけ選択し忘れてしまう…という可能性もあるので、こういった機能は便利。自動で使えるクリップのグループ機能のようなもの…と考えると分かりやすいかもしれません。
Adaptive Limiter
Logicに同名のリミッターがありますが…(笑)、新しいだけあって、こちらの方が大分高性能。いわゆるブリックウォール・タイプのピークリミッターです。
関係ないですが、”あでぃくてぃぶ” と”あだぷてぃぶ” って発音が似てるなーと動画を撮っていて思いました。。
Adaptive Limiterの特徴は、やはりインターフェイス。リミッティングした部分を視覚情報として確認できるので、設定しやすいと思います。特にAttackとReleaseは良い案配を見つけるのが凄く難しい部分なので、「あぁ、こんな感じで掛かってるんだな」というのを意識できるだけでも大分違うと思います。
ちなみに、画面内の緑のラインはラウドネス(LUFS)のカーブ。右側のメーターはRMSメーターで、時間経過に対するヒストグラムも表示できます。
視認性が高いって凄く大事ですよね。プラグイン自体のクオリティーももちろん大切ですが、「パラメーターを追い込めば最高の音に仕上がる」プラグインよりも、「パッと使えて、音もそこそこ」というプラグインの方が使い勝手は良かったりしますから。
ちなみに、リミッティング時の潰し方は4パターンから選べます。具体的には、こんなイメージ。
・Adaptive:ソースを選ばず、無難に使える万能タイプ。とりあえずコレにしておけば問題ない。
・Aggressive:その名の通りアグレッシブでハデ目のサウンド。個人的にはマスター・トラックに掛けると癖が強すぎるので、キャラ立てしたいバス・チャンネルに掛けるならアリかな、と。
・Dynamic:トランジェントを弄ったようなメリハリのあるサウンドに。のっぺりしてしまったソースには良いかもです。
・Pumping:パンチのあるサウンド。これも色づけしたい場合や、ダンス・ミュージックのようにハデに聞かせたいソースで。
アタックやリリースといったパラメーターはそのままですが、ちょっと分かりにくいのが「Link」。これは、ソースの左右どちらかの音量がスレッショルド・レベルを超えたときに、どのような挙動になるのか…というのを決めるパラメーターです。
例えば100%の場合、左右のどちらかの信号がスレッショルドを超えたとき、左右に同じようにリミッティング処理が行われます。小難しく書きましたが、一般的なリミッターの挙動です。
逆に0%に設定すると、スレッショルドを超えたチャンネルだけがリミッティング行われる…という挙動に。このバランスを作ることができるパラメーターです。
といっても、一般的な音楽ソースの場合は100%で問題ないと思いますが…。。
EXPERTパラメーター
触っていて、凄い! と思ったのが「Expert」の項目。ディザリングに加えて、コーデック・プレビューの機能が付いています。
これはmp3で書き出したときのサウンドを、書き出し前にチェックできる…という機能。同様の機能はiZotopeのOzoneの最上位グレードやSonnoxのCodec Toolboxなど前例がない訳ではありませんが、標準付属のプラグインとして使えるのはかなりポイント高いと思います。
プレビューするビットレートも指定できますし、「artifacts」ボタンをクリックすればmp3にしたときに失われてしまう要素だけをソロ再生することもできます。
その他の新機能
その他にもProChのQuadCurveEQに30のプリセットが追加されたり、タッチペンでのピアノロール操作が快適になったり… といった新機能 / 仕様変更が行われていますが、大きな部分は、リップル編集とAdaptive Limiterの2点かな、と。
詳細はCakewalkのページ(英語)でご確認くださいませ。
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