Fractal Audio Systems / Axe-Fx II レビュー
講師の鈴木です。
レビュー投稿は久々ですね。。ネタは色々あるのですが、どれを紹介しべきか悩ましいところもあるので、取り上げて欲しい製品があれば、お気軽にコメントください。
今回は、Fractal Audio SystemsのAxe-FX IIを紹介してみようと思います。Kemperと並んで、アンプ・シミュレーター/エフェクターの最高峰とされている製品。音の良さに関しては、多くの方が知るところだと思いますので、プラグインとの違いや個人的使いこなしを中心に見ていこうと思います。
やっぱり音が良い
最初にAxe-Fxを知ったのは、初代のAxe-Fxが登場して少し経ったときなので、もう10年近く前でしょうか…。とあるギタリストから紹介してもらったのですが、音を聞いてびっくりしたことを未だに覚えています。特に驚いたのがMarshall系のサウンド。当時はハードウェアではPODが。プラグインではGuitar RigやAmpliTube辺りが定番だったと記憶していますが(そう考えると、現在と大きく変わりませんね)、既存の製品は、MarshallがMarshallに聞こえなかったんです。
クリーンや激歪みは、そこまで気にならなかったのですが、どうもクランチ〜オーバードライブだと一気に粗が出てしまうような気がして、使いたくても使えなかった。余談ですが、DAWで一定以上のクオリティーに仕上げるコツは、これを入れたら粗が目立つなーと思う要素を排除することだと思っています(あくまで個人の意見です)。
そんなときに聞いたAxe-Fxの音は、それまでのアンプ・シミュレーターとは次元が違って聞こえたんです。最近はプラグインもかなり音が良くなったと思いますが、やはりハードウェアの方が音作りはしやすいです。詳細は後ほど。
進化し続けるハードウェア
また、Axe-Fx IIの大きな特徴が、ファームウェアのアップデートがかなり頻繁に行われているという点。知っているどんな製品よりも頻繁にアップデートされていて、アンプやエフェクト・モデルが追加されることも多いので、毎回ワクワクできます。
パラメーターの修正が入ることも多いですし、モデリング・エンジン自体が変更になると今まで使っていたパッチの音が変わってしまうこともあります。その度に微調整をこれを嫌がる方もいるようですが、個人的には良くなる分には大歓迎。喜んで作り直しますとも!
収録モデルがとにかく多い!
メリットのようであり、同時にデメリットにもなり得ると思いますが、とにかくアンプやエフェクト・モデル数が膨大。現段階で収録されているアンプ・モデルは258。中には同じアンプのチャンネル違いというものも多いですが、それを考えても多すぎで、どれを使おうか迷っちゃいます。知らないモデルも沢山あります。
音の好みはもちろん、モデルによってモデリングの完成度にも差があるように感じていて、良く使うモデルは限られています。
アンプ部分とキャビネット部分は、それぞれ別のブロックとして組み合わせる必要があるので、それも手間と言えば手間でしょうか。
プラグインとの傾向の違い
Axe-Fx IIの基本的な部分は、色々な所で語り尽くされていますし、この位にして本題に入ろうと思います。
このAxe-Fx自体、ギタリスト的には気になる製品だと思うのですが、まぁ値段が高いですよね。プラグインでも良い音出せる時代に、ここまで出す必要があるの? と。えぇ、そうですよね。レッスンでも良く聞かれます。
先ほど、プラグインだとクランチが〜というお話をしましたが、AmpliTube 4やBIASは特に、この辺りが劇的に良くなった印象があるのですが、やはりAxeと聞き比べてしまうと物足りなさを感じるのは事実。音の密度や奥行き感がないので、ペラペラに聞こえてしまいます。
これを緩和する方法として、プラグインでは以前紹介したキャビネット・シミュレーターを組み合わせて使うというのは有効です。これに関してはAxeも同じで、別売りのキャビネットIRを使っているケースが多いです。
また、外部のマイク・プリアンプやコンプを通すことで、さらに音に立体感を出すことができます。
途中から話題が変わってしまいましたが、プラグインのアンプ・シミュレーターを使っていて、な〜んか物足りない。という人は投資するだけの価値はあると思います。ベース・モデルもかなり良いので、Axeを手に入れて以降、余程のことがない限りプラグインを使うことはなくなりました。
Axe-Fx2 には、Axeの音のクセがあって、言葉で表現するのが難しいのですが、ミッドがヌメっとしているというか…。割と特徴的な音なので、結構分かります(笑)。
Kemperとの違い
また、よく聞かれるのがKemperとの違い。価格レンジ的にも、近いので何かと比較されがちな両モデルですが、両者はまったくの別モノです。
基本的にAxe-Fxは、モデリング技術でソフトウェア的に作り出したサウンドを鳴らす機材なのに対して、Kemperはプロファイリング…つまり実際のアンプの特性をコピーしたものをベースにしています。そのため、Axe-Fxの場合は収録されているモデルしか使えませんが、Kemperはプロファイリングすればどんなアンプだって再現可能な訳です。
どちらも良い音が出せますが、ゼロから細かく音作りできるAxeと、自分の持っているアンプを再現したいKemperといったところでしょうか。Kemperはシミュレーターというよりも、ギター・アンプ的に捉えると違いが分かりやすいと思います。
エディター必須
音作りは本体だけでも行えるのですが、お世辞にも使いやすいとは言えません。というよりも、マトモに音を作ろうと思ったらPCエディターは必須だと思います。
ハードからの操作が残念な分、エディターはめちゃくちゃ良く出来ていて、右クリックでエフェクト・ブロックを追加。選択したブロックのパラメーターが画面下部に表示されます。そしてアイコンをダブルクリックでバイパスに。
そして、パッチの移動や保存、別名保存などはキーボード・ショートカットで操作できるのもポイントです。
外部のIRを使うときにも、カーソルキーだけで簡単に聞き比べができたりと、音作りにはエディターは必須です。
また、好きなパラメーターを外部コントローラーにアサインするのも、エディターを使えば楽。現在はワウ・ペダルをエクスプレッション・ペダルに改造して使っているのですが、ペダルを踏んだときだけワウをONにする…みたいな使い方もできるのも重宝しています。
次回もAxe-Fx2ネタを。Axeなどハードウェアのアンプ・シミュレーターを使う場合のリアンプ方法について紹介します。