TC Electronic / Clarity M レビュー
講師の鈴木(@dawlesson)です。
曲を作る上で、いかに理想とするサウンドに近づけるか…というのはもちろん大切ですが、同時に同じ位重要だと思っているのが「いかに曲を作る気になれるか」だったりするのではないかと思っています(笑)。
そんな意味で、見た目にもカッコ良いハードウェアが好きだったりするのですが、今回は見た目にも美しく、当然実用的。そんなTC Electronicのラウドネス・メーター「Clarity M」を紹介します。ステレオ・バージョンのClarity M Streoも発売されていますが、基本は同じです。
ハードウェアのメーターを使う利点
ハード/ソフト問わず、本当に色々なメーターがありますよね。私自身も、これまで色々なメーターを使ってきました。
プラグイン系だと、Plugin AllianceのMetricABやIK MultimediaのT-RackS Meter、iZotopeのInsight。手に入れてはいませんが、FluxのPure Analyzerなども使われている方、多いと思います。
その他にもスタンドアローンで動くメーター・ソフトや、RMEのDigiCheclkなども使ってきましたが、すべて「パソコンのソフト」です。つまり、パソコンが起動していないと使えません。プラグイン形式のものに至っては、原則としてDAWの音しか表示させることができない…という弱点があります。
それに対して、ハードウェアの利点はパソコンの有無に関係なく、好きな信号をチェックすることができます。しかも、プラグインと決定的に違うのが、プラグイン・ウィンドウを出さなくても確認できる点。これが1番のメリットだと思います。
普段は、こんな感じでパソコンのディスプレイのすぐ横に置いて使っています。
DAWとも連携可能
Clarity Mは、スタンドアロンのメーターとして動作します。接続はステレオのオプティカル(TOSLink)もしくは、AES/EBUの2つの方法から選択できます。
ちなみに、AES/EBUの場合はClarity M側のケーブルがBNCなのでXLRへの変換コネクタを使う必要があります。
接続に関しては、お使いの環境に応じてどちらを使って頂いてもOKです。Clarity M側で表示させるソースを切り替えることもできますので、複数のシステムを繋げておいて、表示を切り替えながら使う…ということも可能です。
また、オーディオ・インターフェイスにデジタル出力がない場合は、USBで直接パソコンと接続することもできます。その場合は、専用のAU/AAX/VSTプラグインを介してClarity Mに情報を送ります。つまり、プラグインをマスター・トラックの最終段にインサートすればOK。メーターの再生/停止がDAWに連動したりトラック名を表示したりと、プラグインだけの機能もあります。
表示可能なメーター
画面上には、色々な要素を表示させることができます。
メーターとしては、ITU BS.1770-4、ATSC A/85、EBU R128、TR-B32、OP-59といった主要フォーマットに対応(放送用の規格なので、分からない方はスルーしても大丈夫!)。
また、公式ホームページにはありませんがファームウェア・アップデートでベクター・スコープも表示できるようになっています。これは、ステレオの広がり具合を表示するメーターで、素材がステレオなのかモノラルなのか…をパッと見て判断できるのが便利。以前にもどこかで書いたと思いますが、素材やサンプルによってはおかしいことあるので。。
画面右側のセクションは、どこに何のメーターを表示させるかをカスタマイズすることも可能です。
Clarity M自体はラウドネス・メーターとして発売されていますので、昨今話題にあがることの多いラウドネス管理にバッチリです。
ディスプレイ自体もメーターとしては十分に精度が高く、視野角も広くて見やすいです。あえて難点を上げるとすればグレアなので反射が激しいことでしょうか…。私はアンチグレアの汎用フィルムを張っていますが、気になる方は何かしらの対策が必要かと思います。
実際の活用方法
Clarity Mを導入して数ヶ月経ちますが、普段の制作にも大活躍しています。
この手のメーターはあると便利ではあるのですが、プラグインの場合、毎回立ち上げるのが面倒でその内使わなくなるケースが多かったのですが、やはり常にそこにあり、視線を少し移動するだけでチェックできるというのは便利です。
動画でもお話しましたが曲作りやアレンジ段階でラウドネス云々を意識するような使い方はしていません。基本の音量感というのは、ある程度感覚で分かりますので、必然的にRTAが表示されているケースが多いでしょうか。
また、場合によってアレンジ段階からアウトボードに信号をルーティングさせていることもあるので、メーターにはDAW + アウトボードの返りのMix…つまりモニター信号を表示させて使っています。これができるのもハードウェアのメーターのメリットだと思います。
ピコピコ動くので、視覚的にも楽しいですし。
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