Steven Slate Drums / SSD5 レビュー 新キットを全試聴
講師の鈴木(@dawlesson)です。
お待ちかねのブラック・フライデーが来週に近づいてきましたが、今年は例年より早くセールがスタートしていますね。。割引き率もぶっ飛んでいますし、ついつい見ちゃいますよね。。
と、そんな中で発売されたSteven Slate Drums待望の最新バージョン、SSD5を紹介してみようと思います。確か、発表自体は今年のNAMM時期だったと思いますので、10ヶ月近く待たされたことになりますね。私自身、大好きで使用頻度も高い音源なので発売を心待ちにしており、発売のメールを見た瞬間に迷わずポチりました(笑)。
前置きが長くなりましたが、SSD 5の新機能だけでなく、改めてSteven Slate Drumsという音源の特徴について見ていきたいと思います。
発売当日に行ったライブ配信のアーカイブです。
読み込んで、すぐ良い音で鳴る
というのが、SSDが大好きな理由です。定番/新鋭含め、膨大なドラム音源がありますが、個人的にはプリセットを読み込んだだけではちゃんと鳴ってくれず、ある程度“作り込む“必要があると思っています。
ドラム音源で同じく大好きなfxpansion / BFD3がその代表でしょうか…。特に標準ライブラリを使おうとすると、パラ出ししてエフェクトで追い込んでいくのは必須だと思います。逆に言えば、自由に弄れるマージンが広いのがBFD3の最大の魅力です。
もちろんアレンジがある程度固まったりTD段階になればまったく問題ないのですが、曲を作り始めるタイミングからパラアウト…というのは、ちょっと面倒。
ということで、パッと読み込んですぐに使える音が鳴ってくれるSSDは重宝しています。特にSSD5の新ライブラリの場合は、軽くコンプを掛けるだけで、今っぽいロック・サウンドが一瞬で作れます。これは本当に凄い!
奥行き感とリアリティーが進化した、SSD5の新サンプル
SSD5 から、新たに50のインストルメントが追加された…ということ。メーカーによると、収録内容は以下の通りです。
103 Kicks
111 Snares
115 Toms (21 sets)
16 Hi-Hats
10 Rides
49 Crashes
3 Splashes
5 Chinas
13 Various Percussion (Including 1 Cowbell)
4 SFX
ですが、収録サンプルは全てが新規サンプルという訳ではなく、初期のSSDやSSD4のサンプルが引き続き収録されています。「SSD 5 Deluxe 2」というLibraryが、SSD 5で追加された新サンプルです。なお、ライブラリの総容量は14GBちょっとで、1キットあたり2GBのパッチが多いです。
SSD自体、(個人的には)ロックに特化した音源だと思っていて、昨今のアメリカン〜ラウド・ロックそのままの音がします。同じアメリカン系だとToontrackのSuperior Drumer 3もありますが、よりロックに特化しモダン。例えばCLA(クリスロード・アルジ)の作るサウンドが大好きな人なら、絶対に手放せなくなると思います。
※実際にCLAのシグネチュア拡張パックも用意されています。
中でも特徴的なのが皮モノ。他のドラム音源では中々表現の難しい鳴りが、パッチを読み込むだけで再現可能です。生っぽさと作られた感の絶妙なバランスといった感じでしょうか…。
そんな基本的なサウンド傾向はSSD 4自体と大きく変わりませんが、SSD 5はよりナチュラルさ、奥行き感が向上しています。4時代は上手く使わないとペタッと平面的になりがちだったのですが、ちゃんと立体感が出せるようになりました。恐らくアンビのマイクが良くなったことが理由ではないかと。
また、キットのチューニングや録り方も今風のセパレートの良い感じになっているので、総じて使いやすくなった印象です。
文字で書いているだけだとアレですし、SSD 5 Deluxe 2の新キット全モデルの試聴動画を作ってみましたので、ぜひ聞いてみて下さい。
必要最小限で、サクサク使えるインターフェイス
また、他のドラム音源とSSDの大きな違いが機能の充実です。
昨今のドラム音源では、音源内に膨大なエフェクトが入っていたり、生ドラム以上に細かく音作りを追い込めるのが主流ですが、その辺りにSSDは最小限です。
もちろん、各キットやアーティキュレーションごとにボリュームやピッチ、ダイナミクス調整、ブリードの量、ADSR等の設定は行えますが、エフェクトは皆無。とはいえ、どちらにしろ最終的にはDAW側で掛けることになりますから、これはマイナス点にはならないと思います。
また、最近のドラム音源で必須になっているビート(MIDI)データですが、こちらも最小限です。
ここで、SSD 4とSSD 5のインターフェイスを見比べてみましょう。(両バージョンは共存可能です)
画面自体は小さくなっていますが、よく見ると実際のエディット画面の大きさは変わっていません。同時に表示/操作できるパラメーターも増えていますし、分かりやすさはUPしていると思います。
また、ミキサー・ページに追加された便利な機能がルーティングのプリセット。パラアウト時の設定を自分で保存できるので、曲作り時はステレオで。TD時にパラ出しして… という変更も一瞬で行えるようになりました。かなり便利です。
まとめ
駆け足ではありましたが、SSD 5の特長をザックリと紹介してみました。繰り返しになってしまいますが、個人的には大好きですし、今後もガンガン使っていくと思います。
人によって音源に求めるものは違いますし、細かく微調整していくのが好きな人には、機能的に物足りないと感じるかもしれません…が、“細かいことはいいんだよ!“と思わせてくれるのがSSD 5だと思います。
また、先述の通りサウンドはロック系に振り切っていますので、それ以外のジャンルをやりたい人は他の音源を選んだ方が良いと思います。大切なのは使い分け、ですね。
YouTubeに動画を毎週更新しています。ぜひチャンネル登録をお願いいたします!