Lunacy Audio / CUBE + 全エクスパンションをレビュー(動画あり)
講師の鈴木です。
今回はLunacy Audioのソフトウェア・シンセサイザー「CUBE」と、専用の音色拡張パック「EXPANSION」を紹介します!
数多のシンセ音源が販売されている中、”CUBEならでは”の特徴がしっかりあるのと、適当に弾いているだけでイメージが膨らんでくるような、曲を作る気にさせてくれるプリセット音色が魅力だと思っています。
今回も動画と共にご覧ください!
メーカーの製品ページ:https://lunacy.audio/products/
CUBEの概要
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CUBEとはどんな音源なのか…というと、GUI上に配置された立方体の8つの頂点に、それぞれ異なるサンプルを読み込み、それを3D的にモーフィング(混ぜて)することで音を作っていくというユニークなコンセプトで作られた音源です。
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この辺りに関しては、以前にも動画で紹介しておりますのでそちらも併せてご覧ください!
「Orbit」画面で音をモーフィングさせていくのですが、その動き自体にもたくさんのバリエーションが用意され、同じサンプルでも選ぶOrbitタイプによって全然違った印象の音になります。
もちろん動きを細かくカスタマイズできますし、XYZの3軸をMIDI CCに割り当てることもできるので、完全に自分で制御するということも可能です。
なお、CUBEの標準ライブラリとして収録されているインストゥルメントは100以上。3,000以上のサンプルで構成され、それらを使ったプリセットが500種類以上が収録されます。昨今の音源としては決して多くはありませんが、音源の特性を考えるとまったく不足を感じることはないと思います!
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※ちなみに自前のwavデータをインポートしてサウンドソースとして使うこともできます。
CUBEの特徴と魅力
実際にどんなサウンドや用途に向いているのか…という面についてですが、ある程度偶然性を狙うような音源ですので、”こんな音が欲しい”という明確なイメージがある場合にはどうしても向かないと思います。
どちらかというと、アンビエント系のパッドやシーケンスのような浮遊感が重要となるパートや、ちょっとしたビートなどモーション系の動きのあるサウンドが持ち味。
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個人的に重宝しているのは、パッド系もそうですがイントロでちょっとした印象的な音が欲しいとき。
ちょっと変な使い方かもしれませんが、独特の世界観を持ったサウンドが多いので、耳を引くようなフックが欲しいときにかなり便利に使わせてもらっています。
わかりやすい例だと、Omnisphereのアトモス系サウンドが好きな方は絶対にハマると思います!
Expansionでサウンドを拡張する
そんなCUBEには、専用の拡張音源「Expansion」シリーズも用意され、現在6タイトルがリリースされています。
標準付属のサウンドが全方位に渡って広く網羅しているのに対し、Expansionはタイトルごとに方向性がハッキリしており、その分、それ系の音が欲しい場合にはど真ん中というか、音色強度が高いので1音で間が持つ。そんなクオリティーの高い音色が満載です。
Canopies
昨日発売されたばかりのExpansion最新作が「Canopies」です。アコギやベルといったサウンドが印象的なタイトルで、CUBEの浮遊感のあるアトモス系やファンタジー系のサウンドが好きな方はかなりハマると思います。
後述の「Pasterls」と「AIR」の要素を足して2で割ったような…。個人的にCUBEの魅力だと感じている要素が凝縮されたような内容になっています。
Dust
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サウンド・デザイナーであり他のExpansionタイトルにも参加しているVenus Theory氏の手によって作られたタイトルで、非常に現代的なテクスチャ系のシンセサウンドが満載のExpansionです。
プリセット音色は全体的に「歪み感」が心地よく、劇伴やシネマティック系の楽曲にはピッタリだと思います。
【収録内容】
・15のインストゥルメント
・50のプリセット
・492 MB
Pastels
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数あるExpansionの中でも、最近のマイブームが「Pastels」。
彩(いろどり)感あふれるカラフルなサウンドが特徴で、ハープやマリンバ、ビブラフォン、スティールパンといった、いわゆるマレット系のサンプルで作られています。
サウンドスケープに寄りすぎていないので、歌モノのポップスでも使いやすいですし、ちょっとメロウ感が欲しいときに重宝してくれます。
個人的にマレット系が好きということを差し引いても、使い勝手の良いタイトルだと思っています。
【収録内容】
・30のインストゥルメント
・120のプリセット
・177MB
Rumble
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パーカッションやシンベなど低域系の楽器に焦点を当てたのが「Rumble」です。
Rumbleの魅力はなんと言ってもエピック感! 特にダーク目の作品との相性は抜群ではないでしょうか?
ボトムがしっかり出ているのですが、適度に輪郭があるのでオケ中でもしっかりとしたピッチ感と存在感を演出できます。
【収録内容】
・40のインストゥルメント
・120のプリセット
・836 MB
Threads
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Imaginative String Texturesと、分かるようでなんとも言えないコピーが付けられた「Threads」ですが、LAのソニックフューエルスタジオで収録されたストリングスを使ったタイトル。
ストリングスといっても、弦を弓や爪で弾いたサンプルとシンセを組み合わせたテクスチャ系のサウンドで、実にCUBEらしい質感にまとめられています。
【収録内容】
・35のインストゥルメント(1,500以上のサンプル)
・120のプリセット
・935 MB
Air
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その名の通り空気感やエアリー感あふれるサウンドが満載の「Air」。CUBEのアトモス・サウンドが気に入った人はマストなタイトルだと思います。
シンセだけでなく世界中の古典楽器のサンプルが収録されており、連続と非連続なサウンドが組み合わさった心地よいスイープ感とオーガニックな雰囲気が漂うプリセットが満載です!
【収録内容】
・35のインストゥルメント(200以上のサンプル)
・120のプリセット
・274 MB