Modartt / Pianoteq 6

講師の鈴木です。
前回の投稿から日にちが空いてしまって申し訳ありませんでした…。。

今回はモデリング・ピアノ音源、ModarttのPianoteq 6を紹介します。
最初に言っておくと、コレめちゃくちゃ良いです。以前に動画で紹介しているSample ModelingのThe Voiolinもそうですが、モデリングの素晴らしさを改めて再認識。一気にお気に入り音源の仲間入りを果たしました(笑)。

サンプリング vs モデリング

サンプリングとモデリングの違い…については、すでに各所で語り尽くされていると思いますが、一応軽く触れておきます。

サンプリング音源は、本物の楽器を(生楽器の場合は)マイクで収録し、録音したサンプルを配置したりスクリプトを組んで音源として構築させる。という仕組み。

それに対して、モデリングは楽器を構成する各パーツをパラメーター化し、コンピューター上に仮想の楽器を作り上げる。

というのが基本の概念だと思います。どちらも一長一短で、どちらが優れているというものでは決してないと思います。

よく言われるのが、モデリングの場合はベロシティー・レイヤーがないので、音の繋がりが自然である。という点。これも凄くよく分かるのですが、個人的にはそれ以上に音程(というよりも倍音?)の出方が違うように思います。Pianoteqを使っていて改めて感じたのですが、和音を鳴らしたときの響き方が、サンプリングの音源に比べて圧倒的に綺麗。

この辺りはモデリングの精度によっても変わってくると思いますが、Pianoteqと某有名/定番ピアノ音源を弾き比べて感じたのはここでした。

 

また、モデリング音源の場合は音色切り替えのタイムラグもないので、その辺もメリットでしょうか。CPU負荷が高いと思いきや、最近はサンプリング音源も裏でもの凄いスクリプトが動いている場合が多いので、劇的に違うという印象はあまりありません。

ピアノ・モデリングが劇的に良くなった!

Pianoteq自体、バージョン2の頃から使っていましたが、正直に言えばピアノ・モデルは昔から音がぼやけ気味で音も平面的という印象があり、作るジャンルとの相性もあってあまり使うことはありませんでした。一方、アドオンのエレピやチェレスタ、vibeは使い勝手が良かったので、こちら目当てで使っていたという…。

ピアノのモデリングってやっぱり難しいのかな…と思っていたのですが、Pianoteq 6になって劇的によくなっていたのです。

何と言ってもSteinwayの公認のModel Dが抜群に良いです。サンプリング音源では、Ivory、ToontrackのEZ KEYSなどModel Dを収録する製品は多いので目新しさはありませんが、それまでPianoteqに持っていたイメージが一変。手持ちのピアノ音源の中でもトップクラスに使いやすい…というか好みの音でした。

以前、ピアノ音源の比較記事を公開していましたが、同じデータで鳴らしてみました。Pianoteq 4時代の音と聞き比べて頂けると、差は歴然かと…。

音のレンジが広くなったのと、大きいのは低域を強く弾くと、ちゃんと「バーン」となってくれること。”弦の鳴り”を感じられるようにになったのが大きい変化でしょうか。音の芯もしっかりしていて、”Steinwayらしさ”がしっかり伝わってきます。もちろん、弾いていても超気持ち良いです。

K2 GrandもK1時代に比べて格段にイイ感じなので、モデリング技術が一気に上がったのでしょうか??

小難しいことは別にして、とにかく音がもの凄く好きです(笑)。

ピアノのカスタマイズ

Pianoteqの真骨頂は、やはりピアノとしての音色カスタマイズだと思いますので、エディットの部分についても触れておきます。

ついているパラメーターは、はっきり言ってマニアック。それこそ調律師じゃなければ分からないのでは? というレベルだと思いますので、できる限り調べてみました。

ここで紹介しているのは、アコースティック・ピアノ・モデルの場合で、エレピなど他のインストゥルメントでは、その楽器に応じたパラメーターに切り替わります。

【TUNINGセクション】

Diapason:基準ピッチを選びます。特にこだわりがなければA3=440でOKかと。

Temperament:ピアノの調律を選びます。ここも、基本はEqial(平均律)で。

Unison width:ユニゾン弦のずれ具合を調整します。ピアノの弦は音域によって1〜3弦の弦が張られていますが、その3本のチューニングを微妙にずらすパラメーターです。上げていくとホンキートンクになります。

Octave Stretching:音程が上がる/下がるほどにピッチのズレ幅が大きくなっていきます。数値を大きくしていくと、音のうねりが増していきます。

Direct sound duration:弦をハンマーで叩いたときのダイレクト音の長さを調整します。数値を大きくしていくと、アタックが弱くなったように聞こえます。

【VOICING】セクション

Hammer hardness:弦を叩くハンマー・フェルトの固さを調整するパラメーターです。ピアノ(Piano)、メゾフォルテ(Mezzo)、フォルテ(Forte)の3段階で、それぞれの強さで弾いたときのトーンを調整することができます。

例えば、弱く弾いたときにも固めのトーンにしたい…なんてときは、Pianoの数値を上げれば良い、と。

Spectrum Profile:基音から8次倍音までの要素を調整します。好みのトーンが作れない場合、EQよりもこちらで弄ってしまった方が楽だと思います。

Hammer Noise:ハンマー打弦時のノイズを調整します。数値を大きくすると、打鍵時に「コトッ」というノイズが加わります。

Strike Point:倍音の変調具合を調整します。ピアノっぽくない音が作りたいとき、でしょうか…。

Soft pedal:ソフト・ペダルをONにしたときのかかり具合(ソフト具合)を調整します。

【DESIGN】セクション

Soundboard:響板のサウンド…つまり響き方を調整するパラメーターです。「Impedance」は響板の強度で、共鳴音の長さが。「Cutoff」は高域の減衰周波数、「Q factor」では高域の減衰速度を調整することができます。

String Length:弦の長さを調整します。80cm〜10mの範囲で調整可能で、小さくするとベルのような独特の響きに、大きくすると調和性の高い綺麗な響きになっていきます。

Sympathetic resonance:他の弦の共鳴具合を調整します。

Duplex Scale:打弦時に、弦が振動する範囲の前後を共鳴させる…という元はSteinwayが生み出し、広く普及した技術のレゾナンス比率を調整するパラメーター。数値を上げていくと、金属的な響きが加わっていきます。

Blooming:低域が高域の倍音に影響する「ボワン」とした響きを調整するパラメーター。energyで変化量が、inertiaで変化に掛かる時間が変化します。

どのバージョンを選ぶ?

Pianoteq 6は「PRO」、「Standard」、「Stage」と3つのグレードが用意されています。最上位のPROは結構なお値段になってしまいますが、どれを選べばよいのか…私なりの考えを書いてみます。

まずPROとStandardの違いは、192kHzの対応の有無と、各ノート単位の編集機能の有無。前者は「うーん…」という感じですが(苦笑)、後者はかなり魅力的。

ここまで紹介してきた各エディット・パラメーターは、基本的にすべての音に同じように掛かりますが、この機能を使うことで特定のノートだけに効果を掛けたり、音域によってかかり具合を調整することができます。例えば、「高域になると、音が固く聞こえるな…」なんてときにサウンドを追い込むことができます。

かなりマニアックなパラメーターですが、あると確実に重宝します。

StandardとStageの違いは、ピアノ・モデルの編集と、マイク・モデルの調整機能の有無。マイク〜は、収音するマイクを最大5本まで自由に配置できるという機能。マイクのモデルや位置、角度、高さが自由自在に調整できます。

ピアノ・モデルとマイク・モデルの自由度がPianoteqのウリだと思いますので、Pianoteqを使うなら、やはりStandard以上がオススメかなぁ、と。

逆に、余計なエディットは要らん! とにかく安くPianoteqの音を使いたい! という方はStageでしょうか。ピアノ・モデル自体は上位バージョンと同じですので、プリセット読み込みだけでOKと割り切れるのであれば、お手軽で良いかと。

 

ということで、今回はPianoteq 6を紹介しました。Steinway Model Bも良さげなので、追加するか悩んでいます。。

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