Sonarworks / Reference 3【後編】

講師の鈴木です。

前回に引き続き、Sonarworksのキャリブレーション・システム「Reference 3」のレビューをお送りいたします。測定方法や補正サウンドのインプレッションは前編で紹介していますので、順にご覧頂ければと。

Sonarworks / Reference 3【前編】

Sonarworks / Reference 3【前編】

気になったのはレイテンシー

前編で紹介した通り、Reference 3は測定、音質のどちらもARCで感じていた不満をバッチリ解決してくれた訳ですが、ちょっと気になったのがレイテンシー。リニアフェイズ処理をしているので当然といえば当然なのですが、結構なCPU負荷とレイテンシーが生じます。

「Advanced」ページでは、フィルターのタイプを3段階で調整できるようになっており、メーカーによると

・Min:1.1msec
・Mixed:20.4msec
・Linear Phase:63.5msec

という感じカーブによって当然、補正結果に影響が出るのですが、レイテンシーの少ない設定で使えばリアルタイム入力もOKなレベルかと。最大16,000の調整ポイントがあるようなので、仕方ない部分ですね。作業内容に応じて切り替えながら使うことになりそうです。

Reference 3 – SYSTEMWIDE UPGRADE

通常、Reference 3はDAWソフトの最終段にインサートして使いますが、ここまでちゃんと補正してくれると、普段からこの音を聞きたくなる訳で…。

そんな要望に応えてくれるのが「Reference 3 – SYSTEMWIDE UPGRADE」というアドオンです。このアドオンは現状Mac版のみらしいのですが、インストールすると、システムの音声…つまりiTunesやYoutubeの音声に対しても同じ補正プロファイルを適用することができます。これがやりたかった人、多いんじゃないでしょうか。

どのような仕組みになっているかというと、OS側からは「Sonarworks Systemwide」という仮想オーディオ・デバイスに音を出力。Sonarworks Systemwide内でオーディオ・インターフェイスの指定ポートにルーティングされる、というシンプルな流れでした。

アップグレードの値段もお手頃なので、日常的に使うならかなり便利ですね!

キャリブレーションのON/OFFはメニューバーから簡単にON/OFFできるようになっています。

 ヘッドフォンも補正できる!

また、Sonarworksが脚光を浴びている理由の1つが、ヘッドホンのキャリブレーションやシミュレートも行えるという点。確かにヘッドホンでチェックすることも多いので、気になります。ということで、テストしました。

こちらはスピーカーと違い、測定の必要は無し。用意されたリファレンスカーブ・プリセットの中から、使っているモデルを選ぶだけで補正が行われます。メインで使っているAKGのK712 Proのプリセットがあったので、読み込んでみました。

ロー・ミッドの少し膨らんだ帯域が補正されて、凄く聞きやすいサウンドに。これは良いかもしれません。

こちらにも他のヘッドホンのシミュレートが出来ますが、うーん、やはり個人的には蛇足感を感じてしまうんですよね…。

問題は、自分が使っているヘッドホンのプリセットが用意されているか、ということですが、本家サイトに対応ヘッドホンのリストが掲載されていました。

http://www.sonarworks.com/headphones/supported

人気モデルは一通り揃っていると思いますが、SonyのMDR-CD900STがないのが日本人的にはうーん、というところでしょうか。海外では7506や他のメーカーが主流だったりしますので、この辺りは仕方のない部分ですね。。とは言え、近いうちに追加されそうな気がします。。

製品ラインナップ

と、かなり長文になってきましたが、ここで製品ラインナップを簡単にまとめておきます。というのも、ラインナップが凄く豊富でパッと見て分かりにくかったので…。

スピーカー・キャリブレーション

Reference 3 Suite:スピーカー・キャリブレーションとヘッドホン・キャリブレーションをセットにしたパッケージ。

Reference 3 Suite+測定マイク:Reference 3 Suiteに、専用の測定マイクをセットにしたパッケージ。

Reference 3 Speaker calibration:スピーカー・キャリブレーションのみのパッケージ。

Reference 3 Speaker calibration+測定マイク:Reference 3 Speaker calibrationに、専用の測定マイクをセットにしたパッケージ。

ヘッドホン・キャリブレーション

Reference 3 Headphone plug-in:スピーヘッドホン・キャリブレーションのみのパッケージ

基本的にはヘッドホン・キャリブレーションは必要か。測定マイクは必要か? という基準で選べばOKです。また、すべてのパッケージには、21日間ソフトウェアの全機能を利用できる、デモ期間が用意されているので、試してみてからダウンロード購入する…という買い方もOKです。

専用マイクって必要!?

そして最後が、そもそも専用マイクって買わないとダメなの!? という点。結論から言えば、汎用マイクでもOK。しかし、精度の高い測定を行いたい/結果に疑心暗鬼になりたくないなら、純正品を選んだ方が安心だと思います。

というのも、マイク自体の特性がSonarworks側でシリアル管理されており、シリアルを入力することで、そのマイクにマッチしたプロファイルをダウンロードし、それを基点に測定を行うことができるシステム。当然、汎用品を使うよりも測定精度は上がりますし、なにより精神衛生上良いですよね。

そして、Sonarworksを知ったときから思ってたのが、コレ。マイクの見た目が激安でお馴染み、BEHRINGERのECM8000と酷似している点。これはARCでも話題になったと思うのですが、果たして違いがあるのかは気になりますよね!?

ということで、両マイクで測定してみました。純正マイクは対応プロファイルを使用。測定時の誤差を考えて、各マイクごと2回ずつ測定を行い、結果の近かったものを採用しています。<画像はクリックで拡大します>

いかがでしょう? 基本的には似た特性となっていますが(そもそも測定用を謳うマイクでそこまでクセがあったら、それはそれで問題ですが…)、低域と高域に少なくない違いが生まれています。微妙ではありますが、補正されたサウンドにも差を感じました。

BEHRINGERのマイクはARCが出たときに純正マイクと比べるために購入し、その後放置していたので生産ロットや状態もまったく違うので、現行ロットではまた違った結果になる可能性もありますが…。

このマイクだけ購入することも可能で、その場合にもソフトのデモは使用できるので、とりあえずマイクを買って測定してみる、というのもアリではないでしょうか。

まとめ

かなり面白いプロダクトだったこともあり、相当なボリュームになってしまいました…。

この種のスピーカー・キャリブレーションは、極論的には自分で行った測定に自信が持てるかを含め、その製品が信用できるかがキモになると思います。測定結果を「これがフラットな音だ!」と闇雲に信用してしまうのもどうかと思いますが、選択肢の1つとしてRefarence 3を試してみるのは十分アリだと思います。

 

わざと左右のスピーカーの音量や距離を変えてみたりもしましたが、ちゃんと補正してくれましたので、モニター環境に何かしら悩みを抱えている人は試してみる価値が十分にあると思います。効果を考えると、コスパもかなり高いですしね。

 

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