IK Multimedia / Bus Compressor レビュー(動画あり)

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講師の鈴木(@dawlessonです。

T-RackS モジュール、9製品目はBus Compressorを紹介します。少し前に各社のSSLバス・コンプレッツサーを聴き比べる、というネタをやりましたが、今回は改めてBus Compressorを見ていきましょう。

目次

IK Multimedia / Bus Compressor

SSLのバス・コンプレッサーをモデリングしたのが、このBus Compressorです。

バス・コンプレッサー自体は、SSL(Solid State Logic)社が1980年代にリリースしたSL 4000 Gシリーズ・コンソールのセンター・セクションに搭載されていたのが始まり。そのサウンドと使い勝手の良さから、その後単体アウトボードとして抜き出され、現行でもXLogicシリーズやAPIの500シリーズでラインアップされたりと、コンプレッサーの定番スタイルの1つになっています。

VCAコンプですので、以前紹介したPresision Comp同様に早いサウンドが特長。ステムやミックスバスに使うのが定番でしょうか。

基本パラメーター

パラメーターは非常にシンプルです。

THRESHOLD:コンプがかかり始める音量レベルのしきい値を設定します。

RATIO:圧縮率を設定します。レシオは、1.5:1、2:1、4:1、10:1の4段階からの選択式です。

ATTACK:コンプがかかりはじめるまでの時間を設定します。0.1~30msまで6段階の選択式です。

RELEASE:コンプが動作を終了するまでの時間を設定します。0.1~1.2までの4段階とオート・リリースが選択できます。

MAKEUP:圧縮された音量分を引き上げます。

SC HI PASS:サイドチェイン・ハイパス・フィルターです。ここで設定した周波数以下の帯域にコンプがかからなくなります。

GRIT:2次倍音を付加します。

ポイントはサイド・チェイン!

Bus Compressorを使いこなす上でポイントになるのは、やはりSC HI PASSの存在だと思います。

VCAタイプのコンプはピーク・レベルに素早く反応してしまうということもあり、特に低域に反応して引っ張られてしまうという、というケースが多いと思います。

つまり低域にしかコンプが掛からず、結果として音ヤセして聞こえる…と。特にステムやバスに使う場合は、サイドチェイン・フィルターは必須と言って良いと思います。

本家はもちろん、バス・コンプの定番であろうWavesのプラグインにもないパラメーターですが、これがあるなしで使い勝手はかなり違います。

GRITスイッチの効果

Bus Compressorのもう1つの特長が、2次倍音を付加するGRITスイッチ。

倍音…というのは、基本となる音に含まれているx倍の周波数の音。2次倍音の場合、元が1kHzの音に2kHzの成分が加わる…という具合です。

音楽的に表現すると、オクターブ上の音が加わることです。1kHzのサイン波にGRITスイッチをONにしたBus Compressorを掛けると…

GritスイッチをOFFにしたサイン波

GritスイッチをONにしたサイン波

という具合に変化します。これを見ると、OFFの状態でも2次倍音が出ているのがわかりますね。

もちろん、これだけで劇的に音色が変化することはないのですが、トラックの一体感や押し出し感が変化します。味付けスイッチという感じですね。

 

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