Virharmonic / Bohemian Violin レビュー
講師の鈴木です。
ストリングス音源、第3弾はVirharmonic社の「Bohemian Violin」を紹介します。
ViennaやBEST SERVICEに比べると如何せんマイナーなデペロッパーではありますが、手軽さという意味では随一だと思っています。
難しいことを考えずに鍵盤を弾くだけで、そこそこイイ感じで鳴ってくれるんです。
ちなみに、音源はUVI社のフリー・エンジンUVI Workstation上で動作。実データはおよそ3.4GBですが、非圧縮で約13GB、10,000以上のサンプルで構成されています。
http://fomis.jp/SoundwaresLAB/bohemian-violin.html
“ただ弾く”だけでOK
通常のストリングス音源は、アーティキュレーションだったりCCだったり、ある程度データを作り込んであげるのが必須。ちゃんとした音源であればある程、この傾向は強く、しっかり作り込めばリアルに鳴らせる反面で、適当なデータだと残念な聞こえ方をしてしまいます…。
しかもCCによる”クセ”はライブラリごとに違ったりするので、組み合わせて使おうと思うと結構面倒だったりします。
そんな中、Bohemian Violinが他のライブラリと決定的に違うのが、ただ鍵盤で打ち込むだけで聞けるデータになってくれるということ。
メイン画面は超シンプルで、画面の左上に現在の奏法情報が表示されるのみ。ノートを鳴らす度にベロシティーや2音間のインターバルに応じたアーティキュレーションに切り替わり、ボウのアップとダウンもリンクします。
ナチュラルさとリアルタイム性
この手の音源に詳しい方だと「その手のものなら他にもあるよ〜」なんて思われると思います。確かにれ自体は大なり小なり他の音源でも実現しているので決して目新しいものではありませんが、表現変化のナチュラルさとリアルタイム性は、現段階で他の音源から頭1つ抜けている印象です。
例えば、Bohemian Violinが登場する前にはEmbertoneのFriedlander Violinというライブラリを使っていました。データの作り込みは若干面倒な側面もありましたが、リアリティーのある質感が好きだったのですが、何より気になっていたのが、発音が遅れるという問題。もちろんMIDIデータなので後からタイミング調整すれば良いのですが、鍵盤でリアルタイムに弾いて打ち込んでいく派からすると使いづらいものでした…。
その点、Bohemian Violinはリアルタイムに弾いても発音の遅れが気にならないレベルだったので、紹介してもらってすぐに飛びつきました、というのがこのライブラリとの出会いでした。
キー・スイッチでコントロールも
もちろん通常の音源同様、各アーティキュレーションはキー・スイッチで手動コントロールすることもできます。
画面を見て頂くと、そもそもアーティキュレーションの数が少ないことがお分かりになるかと思います。
キー・スイッチは自分の好きなキーにアサインすることができるので、その辺りは環境に合わせて…といった感じでしょうか。レガートの強さとリバーブの深さも、この画面上でコントロールできます。
このライブラリはまだ未完?
先ほどのアーティキュレーションを見ても、何か足りない感は払拭できないと思います。例えばトリルやポルタメントなど使用頻度の高い奏法もありませんから、現段階では必要最小限といった印象を持ってしまいますよね。
それもそのはず(!?)。現段階ではこのライブラリはまだまだ未完。4回に渡って新しいアーティキュレーションがどんどん追加されていくという販売形式を取っています。
最近だとViennaのDimension Stringsも同様の形式でしたよね。
なら、完成してから買えば良いじゃん! ともなりますが、ライブラリが拡張されるに従って販売価格も上がっていくという仕組み。最初に買った人は、ライブラリの差分を無償で提供されるということなので、早く買った方がお得ということです。
このエクスパンションのプランは発売当初から公開されていて、4半期(3ヶ月)単位で公開される予定…なのですが、スケジュールがかなり遅れているようで、このblogを書いている段階で1度もエクスパンションがリリースされていません(笑)。
やはり大手のデペロッパーではないので、この辺りは気長に待つ必要がありますが、ライブラリ自体はかなり面白い音源だと思います。
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