Plugin Alliance / ADPTR AUDIO METRIC ABの使い方(動画あり)
DAW LESSONの鈴木です。
今回は、Plugin Allianceからリリースされているリファレンス比較プラグイン、ADPTR AUDIOのMetric ABを紹介します。
簡単に言うと、自分のミックスとリファレンス楽曲を簡単に比較することができるというユーティリティ系のプラグインです。使い方は非常に簡単ですが、その効果は絶大なのでミックスに悩まれている方は必須です!
ミックスで悩んでしまう一番の理由…
レッスンでも一番お問い合わせが多いのがミックスに関するお悩みだったりします。ツールやエフェクトの使い方がわかっても、それをどうしたら理想となるサウンドになるのか、そしてどうすれば満足のいくサウンド(ミックス)に仕上げられるのかは別問題だったりします。
ミックスダウンに正解はないですし、こうすれば理想のサウンドに仕上げられる…のような明確な答えはないのですが、悩んだときのヒントになるのがリファレンスとなる楽曲を用意し、比較しながら作業を進めることです。
リファレンス楽曲は、自分の理想となるサウンドだったり作っている曲と同じような構成のもの…など何パターンかを用意しておくのが良いと思いますが、重要なのは自分の感覚だけで作業しないことだと思います。
Metric ABでできること
Metric ABを使うことで、自分の楽曲とリファレンス楽曲を1クリックで聴き(見)比べることができます。
スロットには最大で16までリファレンスを取り込むことができるので、聴きたい要素に合わせてリファレンスを選べるのも便利な点です。また最高に便利なのが、再生時の音量を自動的にマッチングしてくれる点です。
リファレンスにする楽曲の大半はマスタリング済みのデータですから、ミックス中の自作曲と比べると格段にレベルが大きいことがほとんど。音量が違うと正確な比較は不可能ですので、自動的にレベルを合わせてくれるのは本当に便利なポイントです。
また、PLAYBACK MODEではリファレンス曲のどの箇所を聴きたいのかを指定しておくことができるので、例えば自作曲の1:00付近とリファレンス曲の2:30付近を比較したい…なんて場合も毎回DAWのタイムラインを操作する必要がありません。
FILTERを使って帯域ごとの比較視聴も行えるので、やりたいことの大半はMetric ABで完結できるようになっています。
サウンドを視覚的に確認できる
Metric ABには、5つのメーター(アナライザー)も内蔵されており、視覚的にリファレンスを活用することもできます。
周波数アナライザー
スペクトラム・アナライザーを使うことで周波数ごとの分布を比較することができます。2つの曲のカーブを別に表示することも、重ねて比較することもできます。
各帯域の要素を比較するのに便利です。
相関(位相)メーター
帯域ごとの位相の状態を一眼で確認することができます。
メーターが(+1)側は同相、反対に(-1)側に振れている箇所は位相が反転していることを表しています。
あまりにマイナス方向に振れている場合は、再生環境によっては意図しない不自然なサウンドになってしまう場合があるので気を付ける必要がありますが、かといって気にしすぎなくても大丈夫!
ステレオイメージ
音の広がり具合を帯域別に表示することができます。
特に低域のステレオ状態や、高域が広がりすぎていないか…などを見るのに便利です。
ダイナミクス
ダイナミックレンジを比較することができます。ターゲットとなるダイナミック値を指定することもでき、目標値に対してどのようにダイナミックレンジが推移していくのかを確認できます。
ピークとラウドネスの値を分析してダイナミックレンジを確認できる
ダイナミックレンジが広いことは大切ですが、ただレンジが広いのが良いと言い切れるものでもないですし、楽曲ジャンルや構成に合わせて考えていくのが大切。そういう意味でもリファレンスと比較することが非常に効果的です。
ラウドネス
最後に音量感を確認できるラウドネス・メーター。
現代において非常に重要な指標であるラウドネス値やトゥルーピークを簡単に比較できます。いわゆる”音圧”を数値で比較することができます。
適切なレベルに調整するために欠かせない要素ですので、このメーターを使うことで最終的な音圧感に自信を持てるようになるはずです!
まとめ
このように、従来の方法では”ちょっと面倒”なリファレンス楽曲との比較作業を簡単かつ効果的に行える超便利なプラグイン。
感覚だけでできるよ! という方もいるかもしれませんが、感覚だけに頼るよりも精度も作業効率も上げられると思いますし、使わないと損!
またMetric AB自体、ミックスのレベルアップや効率アップツールとして紹介されることが多いと思いますが、ミックスだけでなくアレンジ作業においてもリファレンスを分析することで得られる情報は計り知れないので、カッコいいなと思った曲はどんどんMetric ABにかけてみてください!
詳細:https://sonicwire.com/product/B8070