曲作りで本当に必要な音楽理論講座 〜その7.コードの持つ役割り
講師の鈴木です。
ここまで、なんとなくコードを学んできましたが、曲を作る上でコード1つ知っていても何もできません(ワンコードで絶対にできないこともありませんが…)。複数のコードを組み合わせて「コード進行」を作ることで、初めて楽曲として成立するのですが、そこで疑問になるのが
どこにどのコードを使えばいいの? なんてもの。これを解決するには、コードの役割について知っておく必要があります。
音階にコードを付けてみよう
この講座では、ここまで「音階」にまったく触れてきませんでしたが、ここで初めてドレミファ〜の音階が登場します(笑)。 例えば、ハ長調の音階は、こうなります。
じゃっかんイマサラ感ですかね。では、「この調で使える音だけを使い、各音をルート音にした3和音を作ってください」 と言ったらどうなるでしょうか?
ルートだけ見て3和音を作ると、こんな感じの和音を作ってしまいがち。
各音をルートにしたメジャー・コードですね。正解のようですが、この問題のポイントは「この調で使える音だけを使い」という部分。
今回の場合はハ長調ですから、♯も♭も使うことができません。ですので、こんな3和音は不正解になってしまいます。
では、正解はどうなるかといえば、単純に3度づつ音を積み重ねるだけ。コードネームを付けてみると、こうなります。
Bmの右肩に見慣れない文字が付いていると思いますが、ここではスルーしちゃいましょう。
その調で使えるコード
このように、その調に存在する音だけで組み上げたコードの組み合わせを「ダイアトニック・コード」なんて呼びます。
難しい言葉がでてきましたが、要するに、このキーの曲には、この7つのコードを使うとマッチするよ! なんてコードを組み合わせたものと思って下さい。メジャー・スケールなのにメジャー・コードとマイナー・コードの組み合わさっているのがポイントです。
現にシンプルな進行の曲なら、この7つを組み合わせるだけで立派に曲が出来上がります。
これは4和音になってもまったく同じです。
コードの役割は大きく分けると3つだけ!
で、問題はこれが分かったからって何の役に立つんだよ! ってところ。一見、無意味に思えるダイアトニック・コードですが、実はものすごーく重要なんです。
ダイアトニック・コードには7つの和音がありますが、コードの持っている機能や役割は3パターンしか存在しないんです。言い換えれば、7つの和音は3つのグループに分類することができるんです。
結果から言っちゃいましょう。分かりやすく3和音の場合で言うと、
・C、Em、Am
・G、Bm-5
・Dm、F
こんな分類ができます。グループごとに色分けすると、こんな感じです。
トニック(T)
C、Em、Amのグループを「トニック・コード」と呼びます。
このコードの特徴は、すごく安定感があるということで、曲の最初に使われることが多いと言えます。
物語で言う主役的な立ち位置です。
ドミナント(D)
G、Bm-5のグループは「ドミナント・コード」。トニックが安定した響きなのに対し、不安定で緊張感のあるサウンドが特徴です。
そして、その不安定さゆえに次にトニック・コードを配置することで、聞く人に何ともいえない安心感を感じさせることができるのです。
物語で言えば悪役でしょうか。悪役がいてこそ主役がより輝く…みたいな。展開にメリハリを付ける、アメとムチみたいなものです。
サブドミナント(SD)
トニックとドミナントが明確な個性(安定と不安定)を持っているのに対し、中間的な立ち位置にいるのがDmとFで構成された「サブドミナント・コード」のグループです。
脇役的な存在ですが、物語の進行には欠かせない存在です。
それぞれにリーダーがいる
7つの音を3つのグループに分けましたが、それぞれのグループには、そのグループの特徴を1番強くもったリーダー的な存在のコードが存在します。
それが、トニックでは「C」。ドミナントでは「G」、サブドミナントの「F」です。この3つのコードを「主要3和音」と呼びます。
つまり、キーがCの曲ではC、F、Gの3つがあれば、曲を作るための最低限の要素が揃うということです。
それ以外のコードはいらないか、というとそうではありません。C、F、Gだけで作られた曲というのは、言わば常にフルスイングしている状況。MAXパワーだと次第にダレでしまいますし、ワンパターンになってしまいます。
そこで要所要所でコードを使い分けていく必要があるのです。
今回のまとめ
今回はその調で使える7つのコード。ダイアトニック・コードと、コードの持つ3つの役割について紹介しました。これらをまとめると、
こうなります。